矢口税理士事務所
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意外に知られていない 盗まれてもタダでは起きぬ!?雑損控除

災害、盗難、横領などに遭った場合に、税金を軽減できる方法があります。

意外に知られていないのですが、「不幸な」出来事に遭った場合でも、税金の世界には一定の救済措置があります。

是非ご覧いただければと思います。

 

 

目次

雑損控除とは?

災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。

これを雑損控除といいます。

雑損控除は、14種類ある所得控除の中の一つです。

 

雑損控除の対象となる資産の要件

損害を受けた資産が次の要件を満たす必要があります。

資産の所有者が次のいずれかであること

・納税者

・納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者

総所得金額等とは、厳密に説明するとややこしくなりますので、ざっくりいうと、事業所得や給与所得等の合計額のことになります。

 

災害に遭った資産が納税者のものだけにとどまらないことがポイントです。

一定の配偶者や親族のものが災害に遭っても、納税者の所得から控除することができます。

 

一定の資産に該当しないこと

次に掲げる資産は雑損控除の対象となる資産から除かれます。

・棚卸資産

・事業用固定資産等

・山林

・生活に通常必要でない資産(別荘など趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で保有する不動産、貴金属、書画、骨董等で1個又は1組の価額が30万円を超えるもの)

 

生活に通常必要であるかどうかの線引きはなかなか難しいものです。

一つの割り切りとして30万円という金額で判断します。

30万円を超えていても、日常生活で必ず必要なものなら認めてもらえるでしょうが、高価な貴金属等は対象外です。

 

損害の原因

雑損控除の対象となる損害の原因は以下の場合に限られます。

(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害

(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害

(3) 害虫などの生物による異常な災害

(4) 盗難

(5) 横領

なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除の対象となりません。

 

例えば、財布を盗まれた場合は対象となります。

 

いくら控除できるの?

次のうちいずれか多い方の金額となります。

(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%

(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

 

災害関連支出の金額とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。

 

差引損失額とは?

差引損失額=損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額―保険金などにより補てんされる金額

 

「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。

「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」とは、「災害関連支出の金額」に加え、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のために支出した金額です。

 

以上をまとめると、

保険金等を差し引いた実質の損失額が総所得金額等の10%を超えているか、

又は

災害関連支出の金額が5万円を超えているか、

どちらか一方でも満たしていれば、その金額を控除できます。

 

損失は3年間繰越可

雑損控除の対象となる損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間繰り越すことができます。

また、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。

 

雑損控除を受けるには

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害関連支出金額の領収を証する書類を添付します。

給与所得のある方は、このほかに給与所得の源泉徴収票(原本)を添付します。

添付義務はありませんが、盗難等の場合で届出をしているなら、盗難証明書等は保管しておきましょう。

 

年末調整では受けられない

雑損控除は、確定申告をしなければ控除を受けられません。

したがいまして、給与所得者の場合、勤務先での年末調整において雑損控除は適用できませんので、ご注意ください。

 

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