パーティ費用からもらった祝儀収入は交際費から控除してもいいの?
会社で得意先等を招待して、創立記念パーティーや懇親会、交流会等を行うことはあります。
日頃の感謝を込めて、会場を貸し切ったりして盛大に行ったりもします。
これらの費用は、法人税法上交際費に該当して、現在では一定の中小法人なら年間800万円まで経費として認められています。
ここでよく処理に迷うのが、得意先等から受け取る「祝儀収入」です。
祝い金だから税金掛からないんじゃないの?って思われる方もいるでしょう。
今回は「祝儀収入」の取扱いを見ていきます。
目次
現行の交際費の取扱い
現行の法人税法上、法人が支出する交際費等のうち、接待飲食費(社内飲食費は除きます。)の50%相当額を超える部分の金額が経費となりません。
また、資本金が1億円以下の中小法人(一定のものを除きます。)なら、年間800万円までの交際費等であれば全額経費となります。
パーティ等で受け取る祝儀収入の取扱いは?
パーティ等で得意先等から受け取る祝儀収入の取扱いですが、雑収入として処理し、交際費等からは控除できません。
国税庁HPタックスアンサー№5261に取扱いが記載されていますので紹介します。
(下線部は筆者による)
記念式典に要した交際費等の金額
Q1
当社は、創立10周年式典を行うに当たって、得意先を招待しました。式典にかかった宴会費(1人当たり5,000円を超えるものです。)、交通費及び記念品代の費用の総額は1,000万円ですが、得意先から祝儀として100万円いただきました。
この場合、交際費等の額は、祝儀を控除した900万円でよいでしょうか。A1
式典費用の支出(開催者の交際費等)と祝儀の受領(参加者の交際費等)は別の行為と考えられますので式典費用の総額から祝儀を控除することはできません。したがって、1,000万円が交際費等の額となります。なお、祝儀の100万円は、雑収入として計上します。
(措法61の4、措令37の5、措通61の4(1)-15(1))
パーティ等の式典と祝儀を受け取ることは、別々の行為だと考えるのですね。
でも、何故わざわざこんなQ&Aを出しているのでしょうか?
相殺するとなぜいけないの?
パーティ等の費用と祝儀収入を相殺したとしても、利益の金額は同じですよね。
上記の設例だと、交際費1000万円―雑収入100万円=900万円(利益)
総額だろうと純額だろうと、どっちでも結果は変わりません。
なら問題なさそうですが、相殺すると何故いけないのでしょうか?
理由は、交際費の税金計算が変わるからです。
前述のように、交際費の金額のうち一定の限度額を超えると、超える部分の金額が経費となりません。
つまり税金がかかります。
となると、税金の計算では、交際費そのものの金額がいくらになるのか、とても重要になりますよね。
そこで、Q&Aで示すことで、人によって処理の仕方が変わらないようにしているのです。
二重課税や三重課税という問題もある
さて、ここで1つ問題が出てきます。
パーティ費用は交際費にして、祝儀収入は雑収入で処理します。
ここで、「二重課税」が発生していることにならないのでしょうか。
さらに、祝儀を持ってくる側(得意先等)も交際費処理となります。
となると、「三重課税」の恐れさえ出てきます。
専門家としては、ちょっと納得できませんが、今のところ控除できないということで、実務上も暗黙の了解となっています。
よく考えてみると、税金の二重課税問題はけっこう身近にありますね。
少しでも納税者にやさしい法律改正となるよう希望しています。