離婚で自宅を財産分与する際に気をつけておきたいポイントは?
夫婦が離婚したとき、相手方の請求により一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与といいます。
離婚によって、夫婦のどちらかが自宅を一方に売却することがあります。
財産分与であれば、自宅をもらう方は税金の心配はほとんどありません。
しかし、自宅を売却する側はタイミングによって税金がものすごく変わってしまう可能性があります。
気をつけておきたいポイントをご紹介します。
目次
離婚と税金
2016年の統計では、日本では3組に1組の割合で離婚するといわれています。
割合にすると離婚率は約30%ということになります。
多いか少ないかといえば、人によってさまざまだと思いますが、個人的には多いと思います。
さて、離婚する際には大抵の場合、財産を夫婦で分けます(財産分与)。
法律については弁護士さんに相談されることがほとんどでしょう。
しかし、その際に意外に盲点となっているのが税金に関することではないでしょうか。
とりわけプライベートな問題であるがゆえに、なかなか人にも相談しづらいことだと思われます。
離婚に際しての税金がどのように扱われるのか、もらう側とあげる側に分けて見ていきます。
財産をもらう側の取扱い
離婚によって財産をもらう場合、もらった人に贈与税がかかることはまずありません。
その理由は、贈与を受けたというのではなく、離婚後の生活保障や財産関係の清算のために財産を分けたという考え方のためです。
しかし、次のいずれかに該当する場合には、贈与税がかかります。
国税庁HPタックスアンサー№4414より引用
- 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
この場合は、その多過ぎる部分に贈与税がかかることになります。- 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。
財産をあげる側の取扱い
離婚による財産分与によって、土地や建物などの不動産を売却した際は、財産をあげる側に所得税がかかります。
国税庁HPタックスアンサー№3114より引用
財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われることになります。
この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となります。
次に、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。
したがって、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになります。(所基通33-1の4、33-9、38-6)
自宅売却の際のタイミング
離婚により自宅を売却する際は、売る側は売却するタイミングが非常に重要です。
通常、自宅を売却する場合には税務上3,000万円の特別控除が使えます。
つまり、売却益が出ても3,000万円までは税金がかからない特例です。
しかし、この特例は夫婦などの特別関係者同士の売買には適用できません。
したがって、財産分与は離婚後に行えば、特別関係者に該当しませんので、特別控除を使えます。
仮に離婚前に自宅を売却してしまうと、特別関係者への売却となり3,000万円の特別控除は使えません。
離婚のタイミングには注意しましょう。