グラフから見えてきた税理士試験の受験者数減少と合格者の高齢化
士業の人気低下がマスコミやビジネス誌に頻繁に取り上げられています。
税理士だけでなく、弁護士や公認会計士でさえもここ数年で受験者数は大幅に減少していますね。
資格業は軒並み低人気のようです。
まあ今は景気が良いので、一般企業に就職したほうが給料も安定していると思われているのでしょうね。
個人的にはライバルが少なくなるのでヨシ、なのですが、今後担い手が少なくなるのはちょっと寂しい気もします。
目次
景気が良くなると資格業は低人気?
これは昔から言われていたような気がします。
景気が良くなると、学生は一般企業に就職する。
逆に、景気が悪くなると、何か資格を取って手に職を持とうとする。
人間の心理としてはよく分かります。
ちなみに、私が受験勉強していた頃は、2006年(H18年)あたりです。
約10年前です。
当時は税理士や公認会計士はとても人気でした。
全業種の年収ランキングなんかをビジネス誌がよく特集していて、常に上位にランクインされていたような気が。
「ほんまかいな」と今だと思いますが。。。
まあその頃は、税理士の受験者数は5万人を優に超えていました(現在は32,000人程度です)し、資格予備校もすごい盛況でしたね。
今から考えると、よくもそんな時代に合格できたなあ、とつくづく思います。
思い返すと、当時は、景気があまり良くなくて、一般企業に入るよりも資格を取って手に職を、という学生が多かったように思います。
大学の知り合いもけっこう公認会計士や税理士を目指していました。
しかし、現在は当時と全く逆転しています。
上場企業を始め、多くの会社では給与も上がり、ボーナスもたくさんもらえます。
なので、莫大な時間とお金を費やして、絶対に合格できるかどうかも分からない国家試験を目指すなんてリスクが大きすぎますよね。
持論ですが、景気と資格業の人気不人気は相関関係にあるように思います。
税理士試験の受験者数減少
以前ブログにも書いたことがありますが、現在税理士の平均年齢はおよそ60歳~65歳くらいです。
業界の高齢化が叫ばれて久しいですが、その理由の一つは、税理士試験の受験者数の減少が挙げられます。
このことはある意味では、非常に由々しき事態です。
最近6年間の税理士試験受験者数をグラフにしてみました。
数値は国税庁HPから引用したものです。
いかがでしょうか。
税理士試験に興味のない方でも、これを見ると「ちょっとヤバイなあ」と思われたのではないでしょうか。
現在記録がないので、正確な数値は分からないのですが、H18年あたりはたしか5万人を優に超えていました。
ここ10年間で、ざっくりと、2万人以上は減少したことになります。
合格者の高齢化という側面も
試験合格者が高齢化していることも、税理士業界の高齢化に関係しているように思います。
税理士試験は5科目取れば最終合格となります。
また合格した科目は永久に消えることはなく、ずっと保持できます。
税理士試験は5科目まで何年かかってもよいという試験制度になっています。
したがって、合格までにかかる年数は他の国家試験よりも長くなる傾向にあります。
税理士試験の年齢別合格者数を円グラフにしてみました。
H25とH29の数値を比較しているので、ご覧ください。
数値は国税庁HPから引用したものです。
いかがでしょうか。
「41歳以上」はH25で26%でしたが、H29では35%と9%増加しています。
「36歳以上」だとH25で47%(26%+21%)でしたが、H29では57%(35%+22%)と10%増加しています。
一方、若年層である30歳以下(「25歳以下」「26~30歳」)はH25で28%(21%+7%)でしたが、H29では23%(16%+7%)と5%減少しています。
30歳以下が減っていっているのと、同じ人が受験年数の長期化により年を取っている、ということが窺い知れます。
若手が少ないこの税理士業界に眼を向けてもらえるように、やはり業界で努力していく必要がありますね。