不動産売買の際に支払われる未経過固定資産税の取扱いに注意しましょう
土地や建物といった不動産を売買する際に、買主が売主に対して、日割り分の固定資産税を支払うことがよく見受けられます。
所得税や消費税の申告を行う際、一体この固定資産税はどのように処理すればよいのでしょうか。
目次
固定資産税って誰が負担するの?
土地や建物を所有している場合に課される税金として「固定資産税」があります。
固定資産税(都市計画税も含む)は、毎年1月1日現在において、固定資産課税台帳に所有者として登録されている者に対して課されます。
要するに、毎年1月1日の時点で所有している人が固定資産税を払う義務があります。
極端な例で説明します。
1月2日に土地を譲渡する場合を考えましょう。
譲渡するので、所有者(=所有権)は売主から買主に代わります。
しかし、固定資産税の納税義務は買主へは移らないのです。
この例では、売主はたった1日しか所有していないにもかかわらず、です。
したがって、新たに資産の所有者となった買主が、固定資産税の納税義務を負うものではありません。
法律上、土地の固定資産税は売主が支払わなければなりません。
未経過固定資産税ってなに?
不動産を譲渡する日から年末までの期間に対応する日割り分の固定資産税に相当する金額を「未経過固定資産税」といいます。
例えば、固定資産税が50万円で、不動産の売買日が7月1日(起算日1月1日)というケースを見てみます。
売主は1/1~6/30までの期間に対応する25万円を負担します。
買主は7/1~12/31までの期間に対応する25万円を負担します。
売主は固定資産税全額(この場合50万円)をいったんは支払っていますので、売買日以降に対応する固定資産税相当額(この場合25万円)を買主に負担してもらいます。
不動産売買の際には、慣習として、この未経過固定資産税を買主が売主に対して支払うことが一般的に多く見受けられます。
未経過固定資産税の取扱い
譲渡対価の一部
以上見てきましたように、未経過固定資産税は税金そのものではないということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
あくまでも売主及び買主当事者間の利益調整のために行われる売買代金の調整です。
本来売主が負担すべき税金の一部を不動産の売買代金に上乗せして買主に対して請求し精算するもの、と考えられます。
要するに、譲渡対価の一部ということです。
所得税(譲渡所得)の取扱い
個人が土地や建物を売却した際には、譲渡所得として所得税の申告を行う必要があります。
売主は、申告する際には、買主から受け取った未経過固定資産税を収入金額として売却金額に上乗せします。
一方の買主は、支払った未経過固定資産税は取得対価の一部となりますので、経費にはできません。
不動産の取得価額に上乗せします。
くれぐれも処理を忘れないようにしましょう。
消費税の取扱い
消費税の課税事業者(消費税を納める義務がある事業者)の場合、未経過固定資産税の取扱いに注意しなければなりません。
通常支払っている固定資産税は税金なので、消費税計算にはまったく関係させませんよね。
しかし、未経過固定資産税が絡む場合は注意です。
建物と土地の場合で消費税の取扱いは変わりますので、表にまとめました。
参考にしていただければと思います。