矢口税理士事務所
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会社を設立するなら個人事業の最終年度の確定申告を忘れない

今まで個人事業をしていて、今年から売上が多くなった等の理由で会社を設立した方もいらっしゃると思います。

ついつい新規に設立した会社のことばかりに気を取られがちです。

当然、個人事業のほうもきちんと最後まで申告しておかないといけません。

 

とりわけ、最終年度の個人事業の申告は、いくつか注意点があります。

通常の年度とは違ったイレギュラーな取り扱いをしますので、ご紹介します。

 

 

目次

つい忘れがちな最終年度の申告

年の途中で法人成りをすると、設立後は法人としての申告が必要です。

これは当然といえば当然ですよね。

そのため、ともすれば法人設立前のことを忘れてしまいます。

 

法人を立ち上げるまでは、法務局や公証役場などに行ったりして忙殺されます。

設立しても、すぐに設立届等の書類を税務署や各官公庁に提出しないといけません。

本業の方も慌ただしくなるので、意識せずとも今後の方に目がいってしまいますよね。

個人事業と比べると考えられないくらい書類は増えますし、自分でやるには限界がくるでしょう。

 

ある意味では、仕方がないです。

私も今まで多くの設立のお客様をサポートさせていただいてきましたので、気持ちは分かります。

 

そういう時にこそ、ご注意していただきたいのが法人成りした際の個人事業の最終年度の確定申告です。

忘れてしまうとかなり痛いです。

法人設立後の最初の税務調査で、個人事業の申告漏れが発覚する場合(※)もあります。

年数が経つほど、延滞税等の罰金もかかってしまうリスクさえあります。

忘れないよう、きちんと処理しておきましょう。

 

※税務署では法人と個人とは担当部門が分かれていますので、法人の調査の際に個人事業のことを直接調べられることはないでしょう。

その場合、個人の担当官へ引き継がれると思われます。

申告期限は3月15日まで

念のために申告期限の確認をしておきます。

最終年度の申告であっても、個人事業の申告期限は翌年3月15日までとなります。

ちなみに、法人の申告期限は決算から2カ月以内(申告期限の延長申請していると、さらに1カ月延びます)です。

混乱されませんように。

 

例を挙げてみます。

平成29年2月1日に法人を設立(1月決算)して、個人事業を1月末にて廃止した場合

⇒個人事業は平成29年1月1日~平成29年1月31日の期間の申告を平成30年3月15日までに行う

⇒法人は平成29年2月1日~平成30年1月31日の期間の申告を平成30年3月31日までに行う

となります。

個人事業はわずか1カ月しかありませんが、その間に発生した売上や経費を集計して申告しないといけません。

申告上の注意点

役員報酬との合算

新たに設立した法人から役員報酬の支給がある場合、個人事業の事業所得と給与所得を合算しなければなりません。

上記の例でいうと、設立後の期間(平成29年2月~12月)における、設立した会社からもらう役員報酬が対象となります。

 

また、会社は役員報酬を支払う都度、源泉所得税を徴収する必要があります。

個人からすれば、差し引かれている源泉所得税は、年内最後の役員報酬をもらう際に年末調整で精算されます。

さらに、源泉所得税は確定申告の際に事業所得と合算されて最終の精算となります。

この源泉所得税を引くことを忘れないようにしましょう。

廃業届等の提出を忘れない

個人事業から法人成りをする際には、個人事業の廃業届を税務署に提出(原則として、1カ月以内)しておきましょう。

また、青色申告の取り下げも行っておきましょう。

売上や必要経費

1月1日~廃業した日までの期間の売上と必要経費を正確に計算しましょう。

当然ですが、廃業までに発生した売上等は個人事業に帰属することになります。

誤って、法人第1期の売上等に含めることが無いよう注意が必要です。

貸倒引当金

個人事業の最終年度の確定申告においては、貸倒引当金を設定することはできません。

もちろん、法人にも引き継ぐことができません。

もし、前年度の貸倒引当金があるなら、全額を戻し入れておきましょう。

個人事業税

個人事業にかかる税金のうちには、事業税があります。

法人と区別して、個人事業税ということもありますが、取扱いは通常、翌年度の経費になります。

廃業したら翌年がありませんので、この場合に限って最終年度の確定申告に含めることが可能です。

しかし、見込額で計上しないといけないため計算も面倒ですし、あまり実務的には見られません。

青色申告特別控除額

青色申告の適用を受けていて、65万円控除の適用要件も満たしているなら、最終年度の確定申告でも全額を控除できます。

月割計算は必要ありません。

もちろん10万円控除も全額大丈夫です。

まとめ

今回は、個人事業を廃止した場合の最終年度の確定申告について見ていきました。

法人の申告ばかりに気を取られて個人の申告を忘れてしまうと、申告漏れを指摘される可能性がありますので、十分ご注意ください

 

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