矢口税理士事務所

民泊の確定申告を行うためには

本日(平成29年10月28日)で、東京オリンピックまであと1,000日となりました。

各地でいろんなイベントが開催されるようです。

 

外国人観光客が増えるにつれ、今話題となっているのが「民泊」。

今年6月には民泊に関する新しい法律が可決成立し、来年には施行される予定です。

民泊を本業のビジネスにしたり、副業としてお小遣い程度に稼ごうとする人はますます多くなるでしょう。

今回は民泊に関する確定申告について紹介します。

 

※本文中の取扱いはあくまでも個人の見解ですので、今後、取り扱いが変わる可能性があります。

 

 

外国人観光客の増加により、泊まれる場所が減少している

民泊とは

そもそも民泊とは何でしょうか。

民泊とは自宅の一部を貸したり、空きアパート等の一室を他の人に有償で貸し出す宿泊サービスのことです。

 

「自宅の一室が空いている」「空室になっているマンションやアパートを有効活用したい」と思うオーナーはたくさんいます。

そんなオーナーの思いを実現するために、民泊は空きビジネスとしての十分な価値があります。

近年の外国人観光客の増加と民泊

観光客(特に外国人)が増えています。

日本にやってくる外国人観光客が今後増えていけば、当然宿泊できる場所が必要です。

しかし、特に東京や大阪といった大都市周辺では、新たにホテルや旅館を建設する場所がほぼない状況です。

仮に建てたとしても、駅近の場所ほど料金も高くなります。

 

一方、多少駅から離れているけれども、すでに建っているところなら、まだまだ泊まれるところはあります。

探せば、価格もリーズナブルで利用しやすいところも多いと思います。

 

そんな状況の中、法整備も進められているため民泊運営を考えている人は多いと思われます。

民泊で増える副業サラリーマン

サラリーマンに限った話ではありませんが、民泊という性格を考えれば、副業しやすいと言えます。

なにしろ貸していればいいのですから。

ただ、勤めている会社が副業禁止となっていないかは十分注意が必要です。

民泊運営で得た利益は申告しなければならない

民泊を始めるにあたって多くの注意点がありますが、その中でも特に重要なのが確定申告です。

サラリーマンなら年末調整という手続きを会社がやってくれるので、税金手続きについて考える機会がまずありません。

もし、民泊運営で得た利益があるなら、自分で申告を行う必要が出てきます。

申告しないと最悪の場合は追徴課税もあり得る

申告義務があるのに、ずっと申告をやっていないことも考えられます。

そのような場合は、税務署から連絡が入り、最悪、罰金を納める必要も出てきます。

追徴課税といいます。

本来納めないといけない税金にプラスして、延滞税のような罰金が科される可能性があるのです。

 

そうならないように、民泊に関する確定申告の知識はきちんとおさえておきましょう。

確定申告とは

そもそも確定申告って何でしょうか。

確定申告とは、簡単にいうと、毎年1月1日~12月31日までの収入や支出を計算して、翌年2月16日~3月15日までの間に申告書を税務署へ提出して、税金を納付する手続きのことをいいます。

前述したように、サラリーマンは通常年末調整という手続きを会社が代わりにやってくれるので自ら申告する必要はありません。

しかし、場合によっては自分で申告する必要が出てきます。

確定申告をしなければならない場合

民泊が本業の場合

その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、原則として確定申告をしなければなりません。

(国税庁HPの一部を引用)

 

要するに、所得金額が所得控除額を超えている場合です。

所得控除額は、扶養の有無や医療費、社会保険料等を支払っている等のケースで金額が異なります。

誰でも基礎控除額の38万円が認められているので、所得金額が38万円を超えている場合、確定申告が必要となります。

 

確定申告(国税庁)

 

民泊が副業の場合

一方で、1カ所以上の給与収入があり、勤務先において年末調整をやっているなら申告はいりません。

もし、給与収入が1カ所で、給与所得及び退職所得以外の所得があり、それらの所得金額の合計額が20万円を超えている場合は確定申告が必要となります。

 

給与収入1カ所の場合 給与所得及び退職所得以外の所得
20万円以下 不要
20万円超 必要

 

つまり、民泊運営で得た所得が20万円を超えるかどうかが申告が必要となるラインとなります。

 

詳細を知りたい方は国税庁HPをご覧ください。

給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁HP)

所得とは収入ではない

ここで、注意すべきことがあります。

それは、

所得≠収入

ということです。

所得は収入と同じではありません。

簡単にいうと、収入とは「入ってきたお金」のことで、所得とは「入ってきたお金から経費を引いたお金」のことです。

つまり、

所得=収入―経費

となります。

収入から経費を引いた残りの金額が所得になるので、残った金額が20万円超かどうかで判断します。

民泊に関わる経費

それでは、経費はどういったものが該当するのか確認しておきます。

まず経費の大前提となる考え方を説明します。

経費とは、売上(収入)を上げるためにかかったコストのことです。

民泊運営を行うために必要なものは経費として認められる、ということです。

一般的なものを挙げておきます。

・地代

・家賃

・固定資産税(自宅でしたら賃貸部分に対応する金額)

・接待交際費

・通信費(電話、インターネット通信代等)

・水道光熱費

・交通費

・修繕費

・新聞図書費(民泊の関連書籍等)

・清掃費用

・火災保険料

・仲介手数料(Airbnbに支払う手数料等) など

 

あと、経費として認められるには、基本的には領収証等の資料が必要です。

いくらどこで何のために使用したか、客観的に説明できなければなりません。

今後、税金を計算するための重要な書類となりますので、なくさないように注意しましょう。

所得税には全部で10種類の所得がある

個人に主に関係するのは所得税です。

ちなみに、法人に主に関係するのは法人税です。

所得税には10種類の所得があります。

すべて挙げると、

・利子所得

・配当所得

・給与所得

・事業所得

・不動産所得

・譲渡所得

・一時所得

・山林所得

・退職所得

・雑所得

です。

民泊運営による所得とは?

民泊運営による所得がどの所得に該当するのか、申告を行う上で非常に重要なことです。

所得によって、計算方法や控除額が異なるためです。

 

全10種類の所得のうち、民泊運営に関係すると思われるのは次の3つです。

・事業所得

・不動産所得

・雑所得

 

ちなみに、ここで挙げている所得はあくまでも個人の予測です。

というのも、民泊運営に関する税金の取扱い方が、現時点で国税庁から正式に発表されていないためです。

今後、取り扱いが変わる可能性が十分あることをまずはご承知おきください。

民泊をメインでやっているか否か

 

民泊をメインつまり本業として行っている場合は、「事業所得」になります。

逆に、片手間でお小遣い稼ぎ程度にしか民泊を行っていないなら、「雑所得」となります。

※本業で行う場合には旅館業の申請登録が必要になることがあります。

 

事業所得になるか、雑所得になるかで税金上の取り扱いが全く異なります。

天と地の差といっても過言ではありません。

簡単に違いをまとめておきます。

 

比較 事業所得 雑所得
青色10万円・65万円控除※ ×
赤字を他の所得と相殺 ×
赤字の3年間繰越 ×
30万円未満の少額資産の特例 ×
青色事業専従者給与 ×

 

青色申告特別控除(国税庁HP)

 

差は歴然ですので、事業所得に該当した方が有利といえるでしょう。

お小遣い程度なら雑所得とされるため、たとえ赤字が出たとしても他の所得から引くことはできません。

 

そこで、事業所得で申告しようとする方がいるかもしれません。

しかし、事業所得として認められるためには、税務署に対してそれ相応の理由がいります。

例えば、

・一定の規模以上で行っている

・民泊のみで生計を立てている

・一時的にではなく、継続的に行っている

等を客観的に示せる必要があります。

ちなみに、事業所得に該当するかの明確な基準はありませんので、総合的に判断されることになります。

民泊を自宅でやっているか否か

民泊を自宅の一部で行っている場合は、「雑所得」になります。

民泊を自宅以外の賃貸不動産(貸アパートや貸マンション)で行っている場合は、「不動産所得」か「事業所得」になります。

 

「不動産所得」か「事業所得」の判断はやや複雑です。

不動産所得は、単なる不動産の貸付という意味合いがあります。

民泊とは一時的に宿泊場所を提供する性質がありますので、単に宿泊場所貸しなら不動産所得で問題ないかと思います。

しかし、アパート等において食事を提供する等のサービスも行う場合は、事業所得か雑所得とされる可能性があります。

 

所得税基本通達26-4より

(アパート、下宿等の所得の区分)

26-4 アパート、下宿等の所得の区分については、次による。

(1) アパート、貸間等のように食事を供さない場合の所得は、不動産所得とする。

(2) 下宿等のように食事を供する場合の所得は、事業所得又は雑所得とする。

 

自宅で行う場合の注意点とは?

民泊を自宅の一部で行う場合の注意点があります。

自宅に住宅ローン控除を適用している場合、民泊を行うと適用が受けられない可能性があります。

住宅ローン控除は「居住用」であることが大前提です。

事業として使用していると、そもそも住宅ローン控除の適用要件から外れます。

 

住宅ローン控除の適用要件の一つを引用します(国税庁HPより)

新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。

 

つまり、事業割合が50%以上になると住宅ローン控除を受けられません。

住宅ローン控除を受けた方がよいのか、民泊収入を得た方がよいのか、慎重に判断しましょう。

まとめ

最後に、民泊の確定申告を行なう際の注意点をまとめておきます。

・確定申告をしなければならないかどうかの確認
・自分の稼いだ所得がどの所得に該当するかの確認
の2点が重要です。

もし、ご自身の所得がどれに該当するのかご不明な場合は、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

 

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