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事業主必見!従業員を雇うことになったら正しく源泉徴収しましょう

従業員を雇うことになったら、事業主は何かと事務作業が多くなります。

その中でも重要なのが、所得税を「源泉徴収」しなければなりません。

初めての方にとってみれば「源泉徴収」とは聞きなれない言葉かもしれません。

私も会計事務所に勤めた時にはじめて耳にした言葉です。

当時はあまりよくわかっていませんでした。

従業員を雇えばやらないといけない「源泉徴収」について、具体的な方法をご紹介します。

 

 

そもそも源泉徴収ってなに?

源泉徴収制度とは、簡単に言いますと、

事業主が従業員の代わりに税務署へ税金を納めてくれる制度

のことです。

※事業主とは、会社と個人事業主です。

 

会社から毎月の給料を受け取る際に明細書をもらいますよね。

明細書の項目にある「源泉所得税」というのがこれです。

 

えっ、手取り額ばかりが気になって、明細書はほとんど見ないですって?

実は、私も会社勤めの時はそうでしたよ。

 

勝手に何となく控除されているなあ、という感じですよね。(私も同じくそうでした)

 

でも、考えてみると不思議じゃないですか?

自分は毎月給料をもらっているのに、税務署に行ったこともないし、税金を支払った覚えがない(!)と思われませんか?

 

いつ支払うんだろう、と新入社員の人なんかは悩んでしまうかもしれません。。。

 

「源泉徴収」という制度があるおかげ(!?)で、給与所得者(給与をもらっている人)はわざわざ申告を自ら行う必要はないんです。

会社がすべて従業員の所得税計算を代行してくれています。

 

もし、「源泉徴収」制度が日本になかったら、大変なことになるでしょう。

日本では数千万人もの給与所得者がいるので、一人一人が税務署に書類をもって申告しに行くことを考えると、、、ぞっとしますよね。

ある意味では、ものすごく効率のいい制度だと言えます。

事業主がしなければならない

事業主になると行わなければならないのが、「源泉徴収」です。

いわゆる、源泉徴収義務者といわれます。

 

ちなみに、源泉徴収の対象となるのは給与や税理士報酬等です。

対象にならないものまで源泉徴収する必要はありません。

 

対象になる所得があるにも関わらず源泉徴収していないと、税務署は源泉徴収義務者に対して納税するよう指摘をしてきます。

十分注意しましょう。

 

参考:

源泉徴収(国税庁HP)

源泉徴収の時期

源泉徴収は、事業主が従業員に給料等を支払う際に行います。

 

もし、徴収せずに給料等を支払ってしまったらどうなるのでしょうか。

その場合も、いったん、立替えた上で後でもらいましょう。

ただ、なかなか後ではもらいにくいです。

もらえない場合は自己負担になってしまいます。

忘れずに給料等の支払の都度、徴収しましょう。

納付期限は翌月10日(原則)

従業員から徴収したら、税務署へ納める必要があります。

源泉所得税の納付期限は、原則として、給料等の支払いの翌月10日までです。

給料等の支払いが11月7日なら、納付期限は12月10日(土日休日なら、翌営業日)となります。

 

1日でも納付が遅れると罰金がかかる可能性がありますので、遅れないようにしましょう。

納付期限の特例もある

源泉所得税の納付を毎月行うのは手間もかかりますし、面倒ですよね。

そんな方に朗報です。

税務署へ一定の申請書を提出すると、毎月から半年に1度に納付すればよくなります。

 

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出します。

給与の支給人数が常時10人未満の事業者が、給与等について源泉徴収した所得税及び復興特別所得税について、以下のように半年に1度まとめて納付できる手続きです。

 

・1月~6月までの間に徴収した源泉所得税…7月10日

・7月~12月までの間に徴収した源泉所得税…翌年1月20日

 

※人数制限があるため、常時10人を超えてしまうと、取りやめの届出書を提出しなければなりません。

 

参考にURLを貼っておきます。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(国税庁HP)

源泉徴収する税額の求め方

源泉徴収する税額の算出方法は、国税庁HPに以下のように書かれています(引用)

賞与以外の給料や賃金などを支払う際に源泉徴収をする税額は「給与所得の源泉徴収税額表」によって求めます。
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得については、源泉所得税を徴収する際に、源泉徴収すべき所得税の額に2.1%の税率を乗じて計算した復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税と併せて納付しなければならないこととされていますから、平成25年分以降の「源泉徴収税額表」の税額は、復興特別所得税相当額が含まれています。
この税額表には、月額表と日額表とがあります。
給与の支給区分に応じて使用する税額表が決められ、さらに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下「扶養控除等申告書」といいます。)の提出の有無に応じて税額表の適用する欄が違います。
例えば、給料が月払いで「扶養控除等申告書」を事業主に提出している人の場合は、月額表の甲欄を適用して源泉徴収税額を求めます。提出していない人の場合は月額表の乙欄を適用することになります。
なお、賞与に対する源泉徴収税額は、通常、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って求めますが、月額表を使って求める場合もあります。

 

これを読んでもなかなか理解しにくいですよね。

私もこの仕事をし始めた当初は、ちんぷんかんぷんでした。

 

具体例を挙げて説明したいと思いますので、以下のものをご準備ください。

平成29年分源泉徴収税額表

平成29年分給与所得者の扶養控除等申告書

 

 

具体例(1)

従業員1名(月額給与20万円、扶養控除等申告書提出あり、扶養者はなし)、社会保険については考慮しないものとします。

この場合の平成29年分の源泉所得税額は?

 

①まず、給与所得者の扶養控除等申告書を提出しているかどうかがポイントです。

提出あり⇒甲欄

提出なし⇒乙欄

甲欄とか乙欄は源泉徴収税額表と対応しています。

 

甲欄と乙欄の違いですが、ざっくり言えば、税額が全然違います。

甲欄<乙欄

となります。

 

もし、扶養控除等申告書を提出していないと、乙欄が適用されますので高い税金が徴収されます。

ちなみに、2カ所以上から給与をもらっている人は、扶養控除等申告書を1カ所にしか提出できません。

2カ所目以降は乙欄が適用されるため、自動的に高い税金が徴収されます。

 

 

扶養控除等申告書を提出する理由は、扶養の有無や16歳未満の扶養親族の有無、障害者、寡婦等の有無を確認するためです。

もし、記入に誤りや漏れがあると正しく税金の計算ができません。

今年最初の給与を支払うまでに従業員から提出してもらいましょう。

 

今回は、提出ありなので、甲欄が適用されます。

 

②源泉徴収税額表から税額を読み取ります。

ポイントは、扶養親族等の数(A)です。

詳細は割愛しますが、税務上の扶養親族等に該当する人がいれば、1人、2人、3人、、、とカウントしていきます。

 

月給なら「月額表」を、

日給なら「日額表」を見ます。

 

「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額(B)」とは、その月の給与等の金額から社会保険料(健康保険や厚生年金保険料、雇用保険料等)を控除した金額です。

 

表中の(A)と(B)の交差した箇所が源泉徴収すべき金額となります。

今回の(A)扶養親族等の数が「0人」、

(B)その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が「199,000円以上201,000円未満」

交差したところ、すなわち「4,770円」が答えとなります。

 

 

具体例(2)

従業員1名(日給給与8,500円、扶養控除等申告書提出あり、扶養者1名)、社会保険については考慮しないものとします。

この場合の平成29年分の源泉所得税額は?

 

具体例(1)と手順は同じになります。

大きな違いは、月給ではなく、日給です。

そのため、源泉徴収税額表の日額表を使用します。

 

扶養控除等申告書を提出しているので、「甲欄」で、扶養親族等の数は「1人」となります。

答えは出ましたか?

答えは「175円」となります。

 

 

源泉徴収税額表は変わります

源泉所得税を求める源泉徴収税額表は、けっこう毎年変わります。

実は、平成30年分も変わることが決まっています。

平成30年分源泉徴収税額表はこちら

 

間違って、他の年分の表を使用しないように気を付けましょう。

納付方法

源泉所得税を徴収して税務署に納める方法ですが、一番オーソドックスなのが納付書によるものです。

所定の納付書に自ら金額や氏名住所等を記入して、金融機関や税務署にて納める方法です。

年末調整等の時期になると、税務署から白紙の納付書が送られてきます。

もし、手元にない場合は、所轄の税務署に行って発行してもらいましょう。

 

なお、納付書以外にコンビニ等で納付できる方法もありますので、参考にURLを貼っておきます。

国税の納付手続(国税庁HP)