税理士がやさしく解説 平成29年分配偶者特別控除申告書の書き方
年末調整に必要となる書類は以下です。
・扶養控除等申告書
・保険料控除申告書
・配偶者特別控除申告書
今回は、配偶者特別控除申告書の書き方について見ていきます。
なお、他の書類の書き方等についても紹介していますので、こちらもご確認ください。
目次
用紙はダウンロードできる
説明にあたって、まずはお手元に配偶者特別控除申告書をご準備ください。
もし、お手元にない場合は国税庁HPからダウンロードすることができます。
平成29年分配偶者特別控除申告書
記載の対象となる配偶者とは?
配偶者特別控除申告書に記載する配偶者とは「配偶者特別控除」を受けられる人です。
では、「配偶者特別控除」ってなに?となりますよね。
実はきちんと解説しようとすると、とても複雑でややこしくなります。
参考までに、要件を国税庁HPから引用します。
(1) 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
(2) 配偶者が、次の五つの要件すべてに当てはまること。
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ 他の人の扶養親族となっていないこと。
ホ 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満(注)であること。
(注)平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが要件になります。
難しい用語がたくさん出てきて、間違いなく頭が混乱しますよね。。。
ここでは、分かりやすくするために、本人と配偶者に給与収入がある場合に限定して解説することにします。
対象となるのは、
・本人の平成29年給与収入が年間1,220万円以下で、
・配偶者にパート収入があり、
・そのパート収入が年間103万円超141万円未満
の場合です。
上記の3要件を満たすと、配偶者特別控除を受けられます。
もし、配偶者のパート収入が年間103万円以下、又は、141万円以上であるときは、配偶者特別控除を受けられません。
なお、配偶者のパート収入が年間103万円以下なら、代わりに配偶者控除の適用を受けられます(平成29年分)。
※平成30年分からは大幅に改正されます。詳細は今後ブログで紹介する予定です。
配偶者特別控除申告書の記載方法
ここから、記載方法を具体的に見ていきます。
※記載例です。
「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」
あなたの所得金額の見込額を記載します。
ただ、分からない場合は勤務先が把握できているので、空欄でも大丈夫です。
給与収入が年間1,220万円を超える見込みの方はそもそも受けられませんので、空欄になります。
「配偶者の氏名」「配偶者の生年月日」
配偶者の氏名と生年月日を記載します。
「配偶者の合計所得金額(見積額)」
給与所得①の欄を見てください。
・収入金額等a…配偶者の年間のパート収入の見込額を記載します(記載例は、1,230,000円)
・必要経費等b…印字されている650,000円は給与所得控除額といいます。
・所得金額(a-b)…aからbを引きます(記載例は、1,230,000円―650,000円=580,000円)
そして、計算した配偶者の合計所得金額を「配偶者特別控除額の早見表」に当てはめて、控除額を出します。
記載例では、合計所得金額が580,000円なので、控除額は210,000円
「配偶者特別控除額」
上記の早見表で出した控除額を記載します。
記載例では、210,000円
なぜ見積額でよいの?
ここまで配偶者特別控除申告書の書き方を見てきました。
「おやっ?」と思われた方もいるかもしれませんが、ところどころ見積額(見込額)での記載がありましたよね。
なぜ厳密な数字ではなく、見込額なのでしょうか。
理由は、年末調整の段階では、そもそも所得金額を確定できないからです。
給与所得ならまだしも、年内に事業所得や不動産所得等を正しく求められるはずなんてありませんよね。
年末調整の段階で配偶者特別控除を受けられると思っても、実際には違ったという場合もあるでしょう。
その場合は、早めに勤務先へ伝えておきましょう。
以上、平成29年分給与所得者の配偶者特別控除申告書についての書き方の説明を終わります。