矢口税理士事務所
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知っておきたい!別居でも老親を自分の扶養に入れることができる

11月に入り、書店などでは年末調整や確定申告といった本が並び始めました。

会社勤めの方は勤務先からそろそろ年末調整関係の書類をもらう時期ではないでしょうか。

 

今回は今の時期に知っておいていただきたい内容を紹介します。

もし、別居している自分の両親(遠方でもOK)に仕送り等をしていれば、扶養として入れられます。

年末調整でも確定申告でも使える内容ですのでご確認ください。

 

 

扶養控除とは

扶養控除とは、その年の12月31日の時点で、納税者が一定の要件を満たす扶養親族がいる場合に受けられる所得控除のことです。

要件は国税庁HPを引用します。

 

扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

(注)出国とは、納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

(2) 納税者と生計を一にしていること。

(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

上記要件を満たす扶養親族のうち、実際に控除の対象となる「控除対象扶養親族」は満16才以上の人をいいます。

 

 

控除額は意外とややこしい

扶養控除の金額はけっこうややこしいです。

以前、税制改正があり親族の年齢等で区分が変わっています。

受験勉強の時は覚えるのに苦労した分野です。。。

 

表にしましたので、以下をご覧ください。

内容を覚えてはいるのですが、私は毎回一応確認します。

(今回は、老親に限っての話なので、「特定扶養親族」については割愛させていただきます。

 

 

それぞれの用語の意味は次のとおりです。

※老人扶養親族…控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70才以上の人をいいます。

※同居老親等…老人扶養親族のうち、納税者又はその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者又はその配偶者と常に同居している人をいいます。

 

具体例

実際、いくら控除額が増えて、税金が減るのか検証してみましょう。

 

納税者は年収600万円、両親はすべて70才以上とします。

所得税、復興特別所得税、住民税の合計税率30.42%と仮定します。

あくまでも、目安の金額として参考にしてください。

 

①自分の両親を扶養している場合

扶養控除額:48万円×2=96万円

税金:96万円×30.42%≒29万円減少

 

②自分の両親を扶養し、配偶者の両親と同居している場合

扶養控除額:48万円×2+58万円×2=212万円

税金:212万円×30.42%≒64万円減少

 

さすがに、②のケースは稀かもしれませんが、金額的にはかなり大きくなりますね。

 

生計を一にしている、とは?

用語の意味

扶養親族の要件の中に「納税者と生計を一にしている」とありますが、どういう状況でしょうか。

ザックリ説明しますと、同じ財布で生活をしているということです。

 

要は、
・同居している
・別居していても生活費、療養費等の仕送りをしている
ということです。

 

同居していても、場合によっては別々の財布で生活しているなら「生計を一にしている」とは言えません。

 

国税庁HPによれば、以下のように記載されています。

「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

(所基通2-47)

 

必ずしも同居している必要なし

先程の国税庁HPにも記載されているように、必ずしも「同居」している必要はありません。

例えば、地方に住んでいる親へ毎月生活費の仕送りを行っている場合が想定されます。

 

図にすると、こんなイメージです。

 

 

ちなみに、こんなケースはどうでしょうか。

  • 親はたくさん資産を持っているのに、生活費を仕送りしている…親自身で食べていけるので、生計を一にしているとは言えないでしょう
  • 親は年金だけで暮らしていけないので、生活費の一部として仕送りしている…生計を一にしているとなるでしょう

 

実は、このあたりの取り扱いについて国税庁から明確な基準が示されていません。

最終的には総合的な判断となります。

 

ですが、税務署がいちいち調べにくるなんてことはまず考えられません。(相続税等の税務調査ならあります)

年金いくら貰っているくらいなら調べようと思えば調べられますが、親の資産がどのくらいあるかとか、所得税に限って言えばまずないでしょう。

特に面倒な手続きは必要としない

地方に住む老親等に生活費の仕送りをしていれば、扶養控除の対象といえます。

手続きは扶養控除等申告書に親の氏名、住所、生年月日等を記載して勤務先に提出すれば大丈夫です。

添付書類は要りません。

 

ただ、証拠として生活費の仕送りをしている事実が分かる書類を残しておきましょう。

銀行通帳のコピーや送金依頼書等です。

 

国税庁HPにも以下のように記載されています。

別居している者を扶養控除の対象とするためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要となります。法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する書類等を提出することまで必要とされているわけではありませんが、正しい扶養控除の計算を行うためには、銀行振込や現金書留により送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け確認することをお勧めします。

(所法2、所基通2-47)

 

親が年金をもらっている場合

親だけでなく、祖父母等も対象になりますが、年金収入がある場合には年金額によって扶養控除が適用されるか変わりますので、注意しておきましょう。

 

①年齢が65才以上の場合…税込(額面上)年金収入が158万円以下であること

 

②年齢が65才未満の場合…税込(額面上)年金収入が108万円以下であること

 

※源泉所得税等が差し引かれる前であって、手取り額(振込額)ではありませんので、ご注意ください。