矢口税理士事務所

オーナー社長必見 会社とのこんな不動産取引はアブナイですよ①

今回はオーナー社長と会社との間によく見られるアブナイ不動産取引を紹介します。

アブナイとは、税務上のお話です。

 

会社が所有している不動産を社長へ売却しようと考えている方、売却金額には細心の注意を払いましょう。

もし「自分の会社だから安く売却しよう」と考えていれば、予想外の税負担を招くことになりかねませんよ。

会社から社長へ通常より低い金額で売却するとどうなるかについて見ていきます。

 

 

オーナー社長と会社の関係

オーナー社長にとって会社は「自分のもの」と考えがちです。

なにしろ、自分の給料も好きなように決められますし、経営や人事労務等に関する裁量もすべて社長の判断に委ねられますからね。

その代わり全責任は社長にかかっていることになるのですが。。。

そのせいかどうかは分かりませんが、会社が社長に必要以上に給与を支払ったり、本来社長が負担すべきものを支払ったりすることがあります。

 

一方、会社はあくまでも利益を追求するのが目的です。

始めから「損」することを前提とした取引には「合理性」はないことになります。

このことは、オーナー会社にも当てはまります。

 

オーナー社長と会社は、法律上は別々の「人格」とされますが、意思決定者はオーナー社長一人ですよね。

当然、会社には「意思」というものはありませんので。

したがいまして、両者の間では、赤の他人同士なら絶対やらないような「恣意的」な取引が存在する可能性が高くなります。

 

上記の例では、税務上、会社が社長に余分な利益を与えたものとして取り扱われます。

 

このことから、オーナー社長と会社の取引には細心の注意を払う必要があるのです。

 

会社から社長へ通常より低い金額で売却する場合

税務上の取扱い

このケースでは、不動産の通常の価格(時価)と売却金額との差額が会社の利益とされます。

社長には差額相当額の役員賞与の支給があったものとされます。

 

具体例

具体例で確認します。

会社が所有する不動産(時価1億円)を4千万円で社長へ売却しました。
帳簿価額は売却金額と同じとします。

 

 

こんな取引はよくあるのかもしれません。

社長としては、購入資金が手元にないためできるだけ安く買いたいと考えていたりします。

 

ここで重要なのは、赤の他人同士(第三者間取引と言います。)であればいくらなのか、という視点です。

会社が社長以外の第三者に不動産を売却することを想定してください。

いくらなら売りますか?

売りたいですか?…

 

わざわざ時価よりも低い金額で売ったりしませんよね。

普通は儲けたいので、商売をしているなら1円でも高く売りたいです。

土地や建物なら近隣で売買されている価格等(いわゆる時価)を参考にして取引金額を決めます。

 

したがって、不動産を時価よりも低い金額で売却した場合、時価で売却したものとみなされます

 

驚くべき税金

ここからは、実際に税務的にどのような取扱いを受けるか前述の具体例をもとに紹介します。

少々、難しいので飛ばしていただいても構いませんが、驚異的な金額になります。

 

 

会社から不動産を時価1億円で社長へ売却したものとされます。

 

帳簿価額と売却金額は同額なので、会社には売却益は発生しなさそうですが、実際は違います。

会社には売却益6千万円(時価1億円と売却金額4千万円との差額)に対する法人税、住民税、事業税への課税が待っています。

仮に、会社の税率を30%とすると、

6千万円×30%=1,800万円

の税金がかかります。

さらに、社長へ賞与(役員賞与)を支払ったとされるので、会社側で源泉所得税を徴収しなければなりません。

 

一方の社長には、役員賞与6千万円への給与課税(所得税、復興特別所得税、住民税)が待っています。

仮に、社長の税率を最高税率の55%(※所得税と住民税10%のみ、復興特別所得税は考慮外とします)とすると、

6千万円×55%=3,300万円

の税金がかかります。

 

もう天文学的な金額になりますね!

 

※参考

所得税の税率(国税庁HP)

 

まとめ

以上見てきましたように、会社にも社長にも数千万円という驚異的な課税が待っています。

不動産取引はとかく高額になりやすい取引ですので、時価がいくらになるのかは慎重に判断しなければなりません。

売却金額は、不動産鑑定士等の専門家や不動産業者へ事前に相談して決めるようにしましょう。

 

※本文中の内容は、投稿時点での税法等に基づいて書いています。

読みやすいよう一部で簡略化して解説している場合もあります。

実行される場合は専門家に相談の上、十分な検討が必要です。

本記事内容をもとに実行された場合の損害については、弊所では一切責任を負いかねますのでご了承ください。

 

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