改正からほぼ倍増!昨年の相続税の課税割合が大幅に上昇しました
国税庁より、平成28年中の相続税の申告状況が発表されました。
相続税は平成27年に大きな改正があり、基礎控除の引き下げ等によって、申告しなければならない人が大幅に出てきています。
今回発表された相続税の課税割合等についてご紹介します。
目次
100人中8人が相続税の課税対象
亡くなった方のうち相続税の申告を行った方の割合を相続税の課税割合といいます。
国税庁HPによりますと、平成28年中に亡くなられた方(被相続人数)は、約131万人です。
このうち、相続税の課税対象となった被相続人数は約10万6千人です。
課税割合は、
10万6千人÷131万人×100≒8.1%
つまり、100人中8人が相続税の課税対象だったことが分かります。
平成27年の課税割合は8.0%でしたので、0.1%増加しています。
課税割合は改正後から急上昇している
改正により、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産にかかる相続税については、遺産に係る基礎控除額が4割減少しました。
詳しく見てみますと、
改正前:5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
改正後:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、法定相続人の数が3人の場合、改正前は8,000万円だったのが、改正後は4,800万円へと6割水準になりました。
以下のように、亡くなる人の数はあまり増えていないのに、相続税の課税対象となった人が急に増えたのです。
(もちろん、基礎控除額の引き下げだけが原因ではありませんが)
(出典:国税庁HP)
課税割合は改正された平成27年を境にほぼ倍増しています。
あくまでも、全国平均なので、いわゆる三大都市圏に限定すれば、課税割合はもっと大きいと考えられます。
(出典:国税庁HP)
不動産が依然多いが、現預金もじわり増えている
相続された財産の内訳を見ていきましょう。
(出典:国税庁HP)
やはり、以前から一番多いのが「土地」や「家屋」といった不動産ですね。
納得できます。
しかし、毎年その割合は減少傾向にあります。
次に多いのが「現金・預貯金等」です。
H19~H26は約20%台だったのが、H27になると30%台に突入しています。
増加した理由は何でしょうか。
個人的には「名義預金かな?」と思ったのですが、注書きに「修正申告書を除く。」とあるので、違うのでしょう。
税務調査で発覚して、申告もれを指摘された預貯金と言えば、「名義預金」です。
しかし、当初の申告ということになるので、ここには入らないということになります。
素直に考えると、日本人は金融資産等にはあまり投資せず、銀行にお金を預けている人が多いですからね。
ちなみに、有価証券は、「その他」を除いて最も少なく、以前より約10~15%の間を推移しています。