今からでも間に合う節税対策とは?
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決算日前なら対応できる方法はある
今日で3月22日。あと10日程で3月も終わります。
税理士をやっていると、いつもこの時期は確定申告が終わり、あっという間に時間が過ぎます。
そうこうしているうちに3月決算の申告が待っています。
毎年毎年この繰り返しではあります。
さて、日本の会社の中で一番多い決算月といえば、ご承知のように3月です。
年度末に合わせて、ちょうど3月にしているのでしょうね。
当期、想定以上に利益が出ていれば、経営者の方としてはできれば節税したいとお考えではないでしょうか。
ただ、こんな決算ギリギリでも間に合う節税対策はご存知でしょうか。
いくつかご紹介したいと思います。
・決算賞与
・短期前払費用の特例
・含み資産の損失を実現させる
・評価損や除却損 等々
です。
列挙しただけではわからないので、順番にご紹介します。
決算賞与を利用する節税対策
決算賞与とは文字通り、決算の際に従業員に支給する賞与のことです。
経営者としては、儲かったら従業員に還元したいと考えるのではないでしょうか。
これを利用すれば、決算までに支給していなくても、当期の経費として認められるのです。
ただ、いくつか守らないといけない税法上のルールがあります。
以下の3要件をすべて満たす必要があります。
- 支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
- 通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
- その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
要するに、「決算期末までに、各人別に支給額を通知して、決算期末の翌日から1ヶ月以内に支給する場合」には、決算賞与として当期の経費に計上することができます。
決算賞与は「通知」することが必須なので、必ず従業員に通知したことを後日証明できるように記録を残しておいてください。
あくまで従業員に対する賞与のお話ですので、役員に対する賞与は原則として経費に計上できませんのでご注意ください。
なお、役員に対する賞与は、事前に一定の届け出を税務署に行って、届け出通りに支給すれば経費に計上できますが、詳細の説明に関しては今回割愛します。
短期前払費用の特例を利用する節税対策
はじめて聞く方もあるかと思いますが、短期前払費用とは、以下のようになります。
・一定の契約に基づいて継続的に役務の提供を受けるために支出する費用
・期間が1年以内であること
・毎期継続して支払った期に経費として計上していること
・当期中に実際に支払っていること
一般的に、等質等量のサービスである必要があります。
具体的には、地代家賃や保険などが対象になります。
コンサルティング料や税理士等の顧問料は等質ではありませんので、たとえ1年分を前払いしたとしても、当期の経費には計上することができません。ご注意ください。
さらに、短期前払費用の特例は、あくまで金額が僅少というように、重要性の乏しいものについて認めるという制度趣旨のものです。
重要性が乏しいかどうかは、会社の数字や状況を見ながら総合的に判断されますので、一概には判断しづらいです。
その他実行には慎重な判断が必要になりますので、もしご検討の方がいらっしゃれば、是非弊所までご相談ください。
含み資産の損失を利用する節税対策
利益が生じている場合、経費すなわち損失を生じさせることで利益から差し引くことができます。
利益が減れば、当然税金の金額も少なくなりますので節税対策となります。
含み資産の損失というのは、遊休地等の不動産など含み損を抱えている資産を売って、損失を実現することで、利益を減らす効果があります。
不動産の価値が明らかに下がっている場合、買った時の値段よりも安くなりますので、売れば譲渡損という損失が発生します。
不動産であれば、保有したままだと固定資産税等もかかってきますので、検討の価値はあるかと思います。
あくまで実現しないといけないので、不動産であれば譲渡という行為がないといけません。
なお、過去の税制改正により、買い手との出資関係いかんによっては、グループ法人税制が適用され、譲渡した損失が繰り延べられますので、ご注意ください。
評価損や除却損を利用する節税対策
一方、評価損や除却損の場合、一定の要件を満たせば損失として認められます。
ただ、税務上の評価損の計上が認められるのは限られます。
棚卸資産であれば、破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになった場合が列挙されています。
不要な固定資産があれば、除却すれば損失として計上できます。
除却とは要するに廃棄することです。
後日、税務調査があった場合に、本当に廃棄したかの確認が行われる場合もありますので、記録は残しておくようにしたいものです。
決算3ヶ月前から対策するのがベスト
今回は3月決算ギリギリの節税対策をご紹介しましたが、本来なら決算3か月前くらいから行うのがベストでしょう。
3ヶ月もあれば相当幅広く、しかも会社の経営にとっても効果的に行えます。
あまりギリギリに駆け込み的に対策をとると、後々税務調査で問題になる可能性がありますので、あまりおススメできません。
もちろん、決算が終わってからでも申告までに取り得る対策はあります。
会社の内容や財務状況をじっくりお聞きしないとご提案できませんので、もしご要望があれば、弊所のお問い合わせフォームからまずはご相談いただければと思います。