クラウド会計導入で生まれた時間をどう使うか
目次
面倒な作業から解放されたいならクラウド会計
クラウド会計を利用する人は大きく分けて2種類います。
「エンドユーザー」としての立場と「会計事務所・税理士事務所(会計士や税理士)」としての立場です。
後者の「会計事務所・税理士事務所」の立場から述べさせてもらうと、クラウド会計を使うなら、活用の仕方はいくらでもあります。
通常、顧問先の入力業務を受けている場合、領収証や請求書、通帳等の月次資料を預かって会計ソフトに入力していきます。
クラウド会計を使えば、通帳データを自動で取り込んでくれますし、領収証はスキャンスナップや携帯カメラでとれば、データとしてパソコンに保存してくれます。
取り込まれたデータから入金及び支出内容を自動で読み取り、適切な勘定科目へと判断推測してくれます。
今までのように、いちいち通帳の1行ずつを入力したり、領収証1枚ずつを入力したりする作業は必要なくなります。
使ってみて初めてその効果を知ることができます。
私も使うまではこれほど作業効率が上がるとは思ってもみませんでした。
もし、面倒な入力作業から解放されたいならクラウド会計はおすすめです。
まだすべての機能を試したわけではありませんので、今後も活用していきたいと考えています。
従来の会計ソフトが優れている部分もある
クラウド会計の利点を述べてきましたが、ただすべての部分で優れているというわけではないと思います。
従来型の会計ソフトが優れている部分も当然ながらありますので、そこはケースバイケースです。
直接入力していく場合、スピードはクラウド会計よりも従来型の会計ソフトの方が速いです。
クラウドなので、その特性上どうしてもアクセスするため、時間は掛かってしまいます。
また、誤った入力をしてしまうとそのまま訂正しなければ、なかなか訂正しづらいです。
従来型の会計ソフトに慣れている反面、使い勝手が悪いと感じたこともあります。
顧問先への提案
もし、顧問先にクラウド会計を導入することを提案するなら、私でしたらまず業務フローをじっくりヒアリングします。
・領収証が毎月膨大に発生する
・金融機関の預金口座を通る取引が毎月数多く発生する
・預金口座の数がとても多い等々
上記はあくまでも一例ですが、クラウド会計を導入することで、コストパフォーマンスが確実に高くなるかよく検討したうえで提案すべきです。
今まで通り、従来型の会計ソフトで続けたほうがよいケースもあるからです。
初めて導入することへの新たなストレスも発生する可能性がありますので、顧問先に十分に説明して納得してもらった上で進めていくのがベストです。
やはりクラウド会計は、最初の設定をいかに正確に行えるかがキーポイントではないでしょうか。
導入さえうまく乗り越えれば、後々の作業効率化にダイレクトにつながりますし、クラウド会計本来の効果を十二分に発揮できるものと考えます。
導入後、目指すべきその先について
こうして無事にクラウド会計を導入できたとしましたら、作業でかかっていた時間は今までの何分の一、いや何十分の一かの時間になるはずです。
顧問先では、導入により削減できた時間や人件費を別業務へのリソースに回せることになります。
例えば、売上に直結する営業人員を増やすことも期待できますし、もっと広いオフィスに移転することも可能かもしれません。
会計事務所としては、生まれた時間を顧問先に対してより付加価値の高いアドバイスを行える可能性が高くなるのではないでしょうか。
よく言われていることですが、税理士業はサービス業です。
小売業のように実際に目に見えるモノを販売する商売ではありません。
目に見えないからこそ、税理士業の独特の難しさがあると感じます。
所内における申告作業や入力作業等の大変さは向こう(顧問先)には、分かってもらえません。
例えば法人税の申告書を作成している中で、数字が1円でも変われば、その他の申告書や内訳書もすべて変えなくてはなりません。
こういったことは今まで何度も経験しました。
しかし、こうした作業時間が減っていけば、空いた時間で積極的に顧問先とコミュニケーションすることができます(もちろん作業自体がゼロになることはないと思いますが)。
以前、マーケティングの世界で、接触回数が増えれば、顧客満足度があがると聞いたことがあります。
対話する回数を重ねていくうちに、顧問先と多くの話を共有でき、税理士は顧問先に対してさまざまな提案を行うことが可能になるでしょう。
顧問先が10社あれば10通りの悩みが、100社あれば100通りの悩みがありますので、やはり1社ずつ丁寧にじっくりとお話を聞くことが大事ではないかと思います。
事務所全体がこうした流れに向かっていけば、今までよりもっと顧問先に喜んでもらえますし、紹介もいただけるのではないでしょうか。
こうした方向に進んでいくことこそ、私が独立した理由の一つでありますし、自分の目指すべき会計事務所の姿になります。
コツコツと進んでいきたいと思います。