お子さんを抱えているシングルの方 税金の控除もれありませんか?
本日、11月11日は1並びの日ですね。
1年を通して、4つとも数字がゾロ目なのは今日だけです。
中国では、「独身の日」といわれており、いろんなセールが行われているようです。
そんな日にちなんで、と意図したわけではありませんが、本日はシングルの方のためにちょっと税金のお話をしたいと思います。
お子さんを抱えていらっしゃるシングルの方に、特に税金の控除もれが多い「寡婦(夫)控除」についてです。
過去に、配偶者と離婚や死別のご経験がおありならば、控除の対象となって、税金が安くなる可能性がございます。
これから年末調整や確定申告の時期に入りますので、ぜひご確認いただきたい内容です。
目次
「寡婦控除」・「寡夫控除」とは?
なかなか理解しづらい
冒頭でも申し上げましたが、とかく寡婦控除と寡夫控除は税金の控除もれが多いと言われています。
その理由の一つとしては、読んでもなかなか意味が理解しづらいから、だと思います。
誤って理解していることが多く、「控除を受けられないんじゃないの?」って勝手に納税者が判断していることも。
私も実務を始めた当初は、頭が混乱して何度も内容を確認した覚えがあります。
お客様の年末調整の処理をやった後に、控除もれに気づきあわてて修正したこともありました。すみません。。。
でも一度理解してしまえば大丈夫ですので、ぜひ内容を知っておいていただきたいです。
寡婦控除とは
寡婦控除とは、次の要件のいずれかを満たす女性が受けられる所得控除です。
控除額は後述します。
・夫と死別(夫の生死が不明な場合を含む)の後、結婚をしていない人で、合計所得金額が500万円以下である
・夫と離婚した後、結婚をしていない人で、扶養親族か生計を一にする子がいる
要するに、
死別なら、扶養親族か子がいる、又は所得が500万円以下だと適用がある。
離婚なら、扶養親族か子がいると適用がある。
ということです。
特別の寡婦
寡婦のうち、次のすべての要件を満たす女性が受けられる所得控除です。
「特別の寡婦」といいます。
控除額は後述します。
・合計所得金額が500万円以下である
・扶養親族である子がいる
寡婦よりもハードルが上がります。
上記の3要件をどれも満たさないと受けられません。
要するに、
年収が少なく、扶養すべき子がいると適用がある。
ということです。
ちなみに、合計所得金額500万円以下というのは、給与収入のみだと6,888,889円以下になります。
寡夫控除とは
寡夫控除とは、次のすべての要件を満たす男性が受けられる所得控除です。
控除額は後述します。
・合計所得金額が500万円以下である
・生計を一にする子がいる
女性の寡婦控除とは違って、ハードルが上がります。
上記の3要件をどれも満たさないと受けられません。
要するに、
年収が少なく、扶養すべき子がいると適用がある。
ということです。
ちなみに、男性は特別の寡婦のような優遇規定はありません。
控除額
寡婦控除、寡夫控除の控除額を表にまとめました(所得税における控除額です。)
控除を受けるにあたり注意しておきたいポイント
・夫又は妻とは、民法上の婚姻関係のことを言います。
つまり、一度も婚姻関係がない(未婚・非婚)なら控除は受けられません。
⇒未婚でも寡婦控除の適用を受けられるよう配慮した自治体もあります(「寡婦(夫)控除のみなし適用」は後述します。)
・寡婦(夫)に該当するかどうかの判定は、その年の12月31日の現況によります。
今年適用を受けるなら、平成29年12月31日の時点で判断します。
適用を受けるための手続き
寡婦(夫)控除の適用を受けるための手続きですが、意外と簡単です。
確定申告書の所定の箇所に☑(チェックマーク)を入れて、控除額を記載するだけです。
添付書類は必要ありません。
下記の図をご覧ください。
(確定申告書B 第二表 記載例)
(確定申告書B 第一表 記載例)
寡婦(夫)控除のみなし適用について
前述しましたように、現行の寡婦(夫)控除については未婚や非婚の場合は適用を受けることができません。
そうすると、未婚のシングルマザーやシングルファーザーは、そうでない方に比べると税金上不利な扱いを受けることになってしまいます。
そういった不平等な扱いを是正しようという自治体が全国にはあります。
例えば、川崎市のHPを見ると、
「ひとり親家庭の生活の安定に向けた寡婦(夫)控除のみなし適用実施方針」に基づき、ひとり親家庭の支援施策の一環として、未婚で20歳未満の児童を養育するひとり親家庭を対象に、寡婦(夫)控除のみなし適用を実施しています。
とされています。
未婚なので現行の寡婦(夫)控除を受けられない、という方はぜひお住いの自治体に問い合わせて「みなし適用」を受けられないか確認してみてはいかがでしょうか。
~マニアック論点~用語の詳しい意味を知りたい方向け
ここからは、マニアックな内容になりますので、詳しい意味を知りたい方だけお読みください。
ただ、分かりやすく説明するため、厳密な意味合いを省略することもありますので、ご了承くださいませ。
寡婦(夫)控除の要件の中で出てきた「合計所得金額」「扶養親族」「生計を一にする子」について説明します。
合計所得金額
「合計所得金額」とは、その名の通りで、所得金額の合計額になります。
所得税には、事業所得、給与所得、不動産所得、雑所得等々、全部で10種類の所得がありますが、それらの合計です(だいたいのイメージですよ)。
厳密には、国税庁HPには以下のように書かれています。
「合計所得金額」とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等に係る譲渡損失、特定投資株式に係る譲渡損失及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等の配当所得等(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後の金額)、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。
ザックリいうと、損失の繰越控除する前の所得金額の合計となります。
説明はこれぐらいにしておきます。。。
扶養親族
「扶養親族」というのは、すでに昨日のブログに書いております。
そちらをご参考ください。
付け加えますと、親族は親族なのですが、所得要件やら事業専従者の適用を受けていないということになります。
ちなみに、同居とは限りませんので、地方一人暮らしで一緒に住んでなくても大丈夫です。
生計を一にする子
「生計を一にする」というのは、すでに昨日のブログに書いております。
そちらをご参考ください。
ここでは、「生計を一にする子」と「子」が付いています。
厳密なことをいうとややこしくなってしまうのですが、ここでの「子」は総所得金額等38万円以下であることが要件です。
さっきの「合計所得金額」とどう違うの?って思われるかもしれませんが、ほぼイコールと考えてもらって大丈夫です。
厳密には、国税庁HPには以下のように書かれています。
「総所得金額等」とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。
ザックリいうと、損失の繰越控除した後の所得金額の合計です。
こちらも説明はこれぐらいにしておきます。。。
まとめ
今回は、寡婦控除と寡夫控除についてお話しました。
離婚や死別という極めてプライベートなことを取り扱うため、どうしても本人でないと気づきにくい面があります。
今一度、年末調整や確定申告に向けて、ご自身に適用がないか確認していただきたいと思います。
どうしても自分では分からない、という方は専門家に一度ご相談ください。