税理士がやさしく解説 中途入社なら早めに前職の源泉徴収票を依頼しておく
もうすぐ12月になりますので、年末調整が本格的に始まります。
この時期になると、会社の年末調整担当者の方はかなり忙しくなっているのではないでしょうか。
私も以前、年末調整の書類の山だったことがあります。。。
年末調整を行う側としては、従業員からの書類の確認作業が重要です。
もらうべき書類が一つでも不足していると年末調整を行うことができません。
特に、中途入社の方がいる場合には注意です。
どんな点に注意しておかないといけないか見ていきます。
目次
前職の源泉徴収票を依頼しておく
今年、途中から入社された方がいる場合には、年末調整で必ず必要な書類があります。
それは、
前の職場の本年分の源泉徴収票
です。
前の職場から給料をもらっていた場合(ほぼ100%だと思いますが)には、退職の際にたいてい源泉徴収票を発行してくれます。
最後の給料明細とともに一緒に封筒に入れてもらっているケースが多いでしょう。
たまに、源泉徴収票を発行していない(会社が発行するのを忘れている?)ケースもあります。
その場合は、新しい会社で年末調整を行うまでに、前職へ連絡して源泉徴収票の発行を依頼してもらいましょう。
もし、紛失したり無くした場合でも、早めに再発行を依頼してもらっておきましょう。
なぜ前職の源泉徴収票が必要なの?
ここで、そもそもなぜ年末調整には前職の源泉徴収票が必要なのか、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
理由は簡単です。
年末調整とは、その人の1年間の給与収入に対して、会社が代わりに所得税を計算してくれるシステムですよね。
つまり、年間の給与収入額が正確に分からないと所得税の計算ができないからです。
例を挙げて見てみます。
前職を9/30で退職し、新しい会社へは10/1(中途入社)に入社した方がいるとします。
この方の年末調整は、次の2期間分の給与収入を合算して行う必要があります。
・1/1~9/30…前の会社⇒源泉徴収票で収入を把握
・10/1~12/31…新しい会社
このように1年間の給与収入をすべて把握できてはじめて年末調整を行うことが可能になります。
必ず前職の源泉徴収票を取り揃えておきましょう。
源泉徴収票をもらえない場合はどうするか
中途入社の場合、年末調整に必須の書類ですが、万が一、前職から源泉徴収票を発行してもらえない場合はどうしたらいいでしょうか。
源泉徴収票の発行義務は給料支払側にあります。
そのため、そもそも発行してもらえないのはナンセンスですが、たまにこういうケースを見かけます。
対応方法としては2つ考えられます。
一つは、税務署から会社に発行するよう依頼してもらうという方法です。
以下の届出書に一定の事項を記載して税務署に提出します。
提出されると、税務署から会社に指導してくれます。
もう一つは、源泉徴収票をもらえない期間の給料明細で対応するという方法です。
ただ、税務署によってはダメと言われる可能性もあります。
昔、顧問先の年末調整の際に、給料明細で対応したことがありました。
この方法は必ずしも正確ではありませんので、事前に税務署に相談してみましょう。
年末調整に間に合わない場合
万が一、源泉徴収票の発行が年末調整に間に合わない場合には、個人で確定申告を行います。
毎年、確定申告の時期は、2/16~3/15(土日祝日の場合は変わります)です。
確定申告をしないといけないのに申告しない場合、延滞税等のペナルティーがかかる可能性がありますので、必ず行いましょう。
また、逆に確定申告をすれば、税金が還付される場合もあります。
どちらにしても、きちんと確定申告をしましょう。