会社を設立するなら株式会社と合同会社どちらがよいのか
会社を設立しようとする場合、ほとんどの方が、株式会社を思い浮かべるのではないでしょうか。
最もよく知られている会社は株式会社ですし、数でも圧倒的に多いですからね。
だからといって会社は株式会社だけではありません。
合同会社という会社もあります。
最近は少しずつ増えてきているので、聞いたことがあるかもしれません。
実は、株式会社にはないメリットもありますので、見ていきましょう。
目次
会社には4種類ある
会社法が平成18年に施行されてから、会社は4種類になりました。
・株式会社
・合同会社
・合名会社
・合資会社
2016年度 新規設立法人数114,343件の内訳を見てみますと、
・株式会社 90,405件
・合同会社 23,787件
・合名会社 93件
・合資会社 58件
(データは、「政府統計の総合窓口」e-Statのデータより、グラフは筆者作成)
やはり圧倒的に株式会社が多いですね。
次いで2番目には合同会社です。
約2割の会社が合同会社として設立されています。
ここ数年で合同会社は少しずつ増えているのです。
合名会社と合資会社は極めてまれなので、それらに対する説明は割愛させていただきます。
株式会社
株式会社とは、出資者である株主に対して株式を発行することで設立される会社のことをいいます。
出資者は自分が出資した金額の範囲内において責任(有限責任といいます)を負います。
いわゆる出資と経営が分かれていますが、中小企業の場合は会社=社長というスタイルがほとんどですね。
日本で最も多い会社スタイルです。
合同会社
合同会社とは、会社法が施行されたことにより誕生した新しい会社です。
株式会社と同様に有限責任です(出資者が出資した範囲内での責任)。
個人事業主なら、事業が破綻したり倒産したりすると、個人まで責任が及びます(無限責任といいます)。
有限責任なら、出資額以上の責任を負うことはありませんので、小規模な企業には向いている会社スタイルと言えます。
株式会社と合同会社の違い
それでは、株式会社と合同会社の違いを見ていきます。
主な項目を以下の表にまとめてみましたので、ご確認ください。
出資者
出資者とは、会社に対して出資者をする人(株主)のことを言います。
会社法が施行されて、株式会社も合同会社も1名でも設立することが可能となりました。
要するに、自分一人でも作れちゃう、ということです。
株式会社では、株式の譲渡制限(株主が、第三者に株式を譲渡する場合に株主総会等の承認を要すること)を設ければ、取締役(役員)が1名であっても設立できます。
出資者責任
前述のように、株式会社と合同会社は出資額以上の責任を負うことはありません(有限責任)。
万が一、事業が失敗しても、私財まで失ってしまうことはありません(銀行融資の際、私財を担保に入れている場合は別ですが)
設立コスト
合同会社は株式会社に対して設立費用が安く済みます。
登録免許税に限っていえば、株式会社なら最低15万円に対し、合同会社は6万円です。
登録免許税や司法書士費用を含めると、株式会社では約25万円~30万円くらいでしょうか。
合同会社では約10万円~15万円くらいでしょう。
合同会社の方が約10万円以上安くなる計算です。
社会的認知度
やはり認知度の点では、圧倒的に株式会社の方に軍配が上がるでしょう。
合同会社は平成18年に会社法が施行されてからの会社スタイルですので、まだまだ認知度は低いと言わざるを得ません。
比較的認知度が低くても問題ない業種なら、合同会社でも全く問題ありません。
「あえて合同会社にしている理由」がないと、信用力は劣りますので気を付けたいところです。
決算公告義務
合同会社には決算公告義務がありませんので、ランニングコストは比較的安く済みます。
公告義務があると、官報掲載費用6万円かかります。
(実際に、中小企業で官報へ掲載しているところがどのくらいあるか知りませんが。。。)
役員任期
株式会社では会社法が施行されて、役員の任期は最長10年となりましたが、改選時には再び役員変更の登記を行う必要があります。
合同会社では役員の任期はありません。
登記を行う際には、登記費用がかかりますので、コスト面からは任期がない方が得と言えます。
株式公開
株式を公開、すなわち上場しようとする場合は株式会社でないとできません。
合同会社ではできませんので、株式会社へと組織変更する必要があります。
そもそも、ビジネス拡大志向の方なら最初から合同会社で設立することは稀かもしれませんが。
税金面から比べてみると
ここまでは、主に会社法側から両者の違いを見てきました。
ここからは、税金面での違いを確認します。
結論からいいますと、税金面では
両者は全く同じ取扱い
です。
合同会社だからといって税率が低いわけではありませんし、税金の優遇措置も特別にあるわけではないです。
申告期限は両者とも決算日の翌日から2カ月以内です。
ちなみに申告書も同じ様式のものを使います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これから会社を設立しようするなら、株式会社だけでなく合同会社も視野に入れた上で検討していただければと思います。
その際には、株式会社と合同会社の違いやメリットデメリットをよく見極めておく必要があります。
見てきましたように、合同会社は、設立コストが安い上に、有限責任・役員任期なしということで、比較的運営しやすい会社スタイルでしょう。
事業を運営していく上で、どちらでもあまり変わらないのでしたら、とりあえずコストの安い合同会社を設立しておいて、後で株式会社にするのも全然アリだと思います。