節税をすると、実はお金が残らないという現実
「税金納めるくらいなら、今年のうちに何か買ってしまおう」
と思っている方、ちょっと待ってください。
「その支払い、本当に必要ですか?」
節税をするとお金はなくなります。
どんな注意点があるのか見ていきます。
目次
今の段階での利益をきちんと把握しておく
12月は1年で一番最後の月です。
個人事業主の中には、今年一年を締めくくるにふさわしい月にしたい、と考えている方もいらっしゃることでしょう。
「頑張って売上を伸ばすぞ」と意気込む声も聞こえてきそうです。
売上が伸びれば、通常は利益も増えますので税金も増えます。
いわゆる利益対策、税金対策を行っていくのもこの時期です。
年が明けてからではほとんどできませんので。
今の段階で、ご自分の利益がどのくらい出ているのかは、知っておかないといけません。
しかし、一体、どのくらいの方が本業の利益をきちんと把握されているのでしょうか。
「きちんと帳簿もつけているから大丈夫」という人はオッケーです。
反対に、「全然分からないよ」っていう人は黄色信号です。
今からでも遅くないので、ちゃんと把握しておきましょう。
その支払いは本当に必要ですか?
今の段階で利益が出ていることが分かっている個人事業主の方へお話したいと思います。
ちゃんと自分の数字を掴んでいらっしゃるのは、すばらしいです。
当然だよ、って言われるかもしれませんが。
きちんとされているので、おそらく来年の確定申告で納める税金も、ある程度把握されていることでしょう。
ただ、税金を納めるくらいなら何か買ってしまおうと考えている方、ちょっと待っていただけますか。
「本当にその支払いは必要ですか?」
買う前にもう一度考え直していただきたいと思います。
私も自分のお客様に対して、以前同様に問いかけたことがございます。
来年のため、これからのため、投資のため、ならオッケーです。
逆に、不要なものをあえて買おうとしているなら、もったいないです。
モノがもったいないのではなく、お金が出ていくのでもったいない、ということです。
節税をすると実はお金が残らないという現実
一般的によくいわれている節税対策とは、大抵ですが、お金が出ていくものがほとんどです。
中には、お金が出ていかない節税対策もあるにはありますが、本当に数は少ないです。
つまり、
節税対策をするということは、手元のお金を減らしている
ということなんですね。
「いや、そう言うけど、税金も減ってるんだから結局変わらないんじゃないの?」って思いますよね?
答えは、「NO」ですよ。
節税対策でお金を使えば使うほど、手元のお金は減っていき、実はあまり残らないという現実があります。
具体例
具体的な数字で見てみましょう。
節税対策として、50万円の経費を使った場合に所得金額別にお金がいくら減るのか、表にしてみました。
50万円全額が経費に計上できるものとします。
・事業所得(青色申告特別控除65万円適用)
・所得控除は、配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除(8万円)・基礎控除とします。
・税金は所得税・復興特別所得税・住民税・事業税です。
※あくまでも投稿日時点での税法に基づいた試算上の数字です。
表の一番右の数字を見てください(②―①)。
50万円を使うと、いくら手取り額が減るのかを示した数字です。
単位:円
いかがでしょうか。
200万円の所得金額なら約42万円も手取り額が減ってしまいます。
税金の軽減効果はたったの75,600円です。
1000万円の所得金額なら約30万円の手取り額が減ります。
税金の軽減効果は約19万円になります。
所得金額が高くなっていけば、税率も高くなるので、税金の軽減効果も大きくはなります。
さすがに、所得金額5,000万円レベルまで試算する必要はないかもしれませんが、それでも約40%程度は目減りします。
まとめ
以上、見てきましたように、節税対策のためにお金を使えば、手元のお金は減ってしまいます。
その支出が、来年以降につながる投資なら意義のあるお金の使い方でしょう。
しかし、単なる節税で使うなら、お金の無駄になります。
税金を払ってでも手元のお金は残す、ということも選択肢として考えていただきたいと思います。