要注意!実体のない指導料の支払いは寄付になってしまいます
関連会社同士でたまに見かけるのが、指導料(経営指導料)という名目でお金をやり取りしているケースです。
実際に指導を受けているのであれば、別に問題はありません。
しかし、実体がなければ指導料の支払いは当然否認されます。
特に、オーナーやオーナー親族同士の関連会社は気を付けておくべきでしょう。
目次
経営指導をしているかが重要
例えば、オーナー会社がオーナーの親族から経営指導を受けているという名目でお金の授受があるとします。
オーナー会社から親族への支払いですが、実体はありません。
単なる資金援助をしているとします。
税務上、指導料として経費で処理できるのは、実体があることが前提です。
実体があって初めて、その後どういう科目(勘定科目)で処理するのか決めます(経理側、顧問税理士側で)。
上記のような実体のない支払いは、対価のない支出とされて「寄付金」とされます。
単なるオーナー親族への利益の付け替えとみなされ、支出した会社側では全額否認されます。
どんな勘定科目(「支払手数料」「外注費」等)で処理していようが、まったく関係ありません。
やはり、経営指導の実体が伴っていることが重要です。
具体的な数字で考えてみると
実際にどうなるか、具体的な数字で考えます。
例えば、毎月経営指導料として50万円の支払いをしているとします。
年間では、
50万円×12カ月=600万円
です。
もし、全額経費として認められない場合は、仮に税率を30%とすると、
600万円×30%=180万円
の法人税等がかかります。
さらに、消費税も控除が否認されれば、単純計算で、
600万円×8%=48万円
の追加納税となります。
上記は1年間分の金額です。
もし、複数年で否認されてしまうと、膨大な金額になってしまいます。。。
否認されにくいようにするには
税務全般にわたって言えることですが、税務署からにらまれやすい取引はあります。
第三者間取引ならまだしも、親族同士やオーナーの関連会社との取引は「恣意性」が介入しやすいため、気を付けないといけません。
どこで問題になるのか、ご存知の通り、「税務調査」時ですね。
税務調査において、否認されにくいようにするためには、やはり実体があることを証拠として残しておきましょう。
経営指導してもらった内容を報告書やレポート等という成果物として作成しておくことをお勧めします。
・年月日
・場所
・経営指導の具体的な内容 等
を記載した書類を作成します。
外部のアドバイザーや専門家に依頼する場合には、当然、報告書のような成果物はありますよね。
また、金額も重要な要素です。
・高額なフィー(報酬)に見合うだけの内容か?
・通常、外部の専門家に支払う相場よりも高すぎないか?
といった視点も踏まえて、経営指導料の金額は決定しておく必要があります。
きちんと納得のいく金額に設定しておきましょう。
※本文中の内容は、投稿時点での税法等に基づいて書いています。
読みやすいよう一部で簡略化して解説している場合もあります。
実行される場合は専門家に相談の上、十分な検討が必要です。
本記事内容をもとに実行された場合の損害については、弊所では一切責任を負いかねますのでご了承ください。