今年消費税の申告をしなければならない個人事業主とは?
いよいよ来月からは所得税の確定申告が始まります。
毎年そうなんですが、年が明けると、あっという間に申告時期がやってきます。
そんな中、忘れてはならないのが、消費税の申告と納税です。
巷では、「所得税、所得税!」ばっかり目にするので、ついつい消費税のことは忘れがちになりませんか?
申告を忘れると大変です!
金額によっては、ペナルティーがかかる場合もあります。
ただ、消費税の申告をしなければならない方は一部ではあります。
今年、どんな方が消費税の申告義務があるか説明しますので、該当した方についてはきちんと申告を行いましょう。
※文中では、今年(平成30年)に、消費税の確定申告を行う必要のある個人事業主に限定して説明させていただきます。
目次
対象となる方とは?
平成29年分において、消費税の申告義務がある個人事業主は以下に該当する方です。
①平成27年分の課税売上高が1,000万円を超える事業者
②平成27年分の課税売上高が1,000万円以下の事業者で、平成28年12月末までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出している事業者
③①、②に該当しない場合で、平成28年1月1日から平成28年6月30日までの期間(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超える事業者
なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額によることもできます。
(注) 事業の用に供していた建物や機械などの譲渡収入も、課税売上高に含まれます。
上記は、国税庁に記載されている内容なのですが、もう少しかみ砕いて書くとこうなります。
①平成27年中の課税売上が1,000万円を超えている場合
②平成27年中の課税売上が1,000万円以下だが、平成28年中に課税事業者選択届出書を提出している場合
③平成28年上半期(1月~6月)中の課税売上も給与及び賞与の支払金額も両方とも1,000万円を超えている場合
となります。
注意点
いくつか注意点があります。
ということで、税の専門家ゆえに、注意点をずらりと厳密に書きたいのですが、消費税の納税義務は実にややこしい。
細部まできちんと表現しようとすれば、かえって頭が混乱するばかりでなく、書けなくなってしまいます。
なので、厳密な説明ではないことは悪しからずご了承ください。
まず、大原則として、消費税の納税義務を判定する基準は、2年前の課税売上が1,000万円を超えているかどうかです。
「超えている」ことが要件なので、ぴったり1,000万円だったら、申告はいりません。
課税売上とはざっくり言えば、「売上」のことです。
本来の意味は違うのですが、詳細は割愛します。
次に、課税売上が1,000万円以下でも、消費税の課税事業者届出書を提出していれば、申告義務があります。
この届出書は、簡単にいうと「申告します!」と事前に税務署へ自ら手を挙げる場合に提出する書類です。
「事前に」というのは、申告したい年が始まるまでに提出しなければなりません。
わざわざ申告をするわけなので、消費税の還付を受けようとする場合に提出します。
③の規定は比較的最近に改正があった項目です。
2年前の売上が1,000万円以下でも、前年の上半期中の課税売上等が1,000万円を超えていたら申告義務がありますよ、っていう規定です。
ただし、課税売上または給与及び賞与のどちらかが1,000万円以下であれば、消費税の申告義務はありません。
「~できる」という規定なので、あえて申告することも可能です。
ちなみに、給与と賞与は支払ベースなので、未払なら含まれません。
年の途中で開業したら
個人事業主の場合、年の途中に開業しても、そのままの金額で判定することに注意しましょう。
例えば、平成27年7月1日に開業した場合には、平成27年中の売上は6ヶ月分の金額となります。
7/1~12/31 売上が600万円だった場合、平成29年分の申告義務はどのように判定するでしょうか。
答えは、600万円≦1,000万円のため、申告義務はありません(平成28年上半期については別途判定が必要です)
要するに、6ヶ月分だからといって、無理やり12ヶ月に引き延ばして判定するとかは必要ありません。
あくまでも、暦年(1/1~12/31)ベースのそのままの金額で見ていきます。
いつまでに申告しなければならないか?
平成29年分の確定申告による消費税の納期限及び振替日は、以下の通りです。
〇納期限…平成30年4月2日(月)
〇振替日…平成30年4月25日(水)
※振替日とは、事前に税務署へ振替納税を依頼している場合に適用されます。
振替納税すると、ちょっとだけ納税を先送りできる
振替納税すると、上記のように納税を少しの間(4/2⇒4/25)先延ばしすることができます。
手続きの方法は簡単です。
税務署に「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出しておけば、指定の預貯金口座から振替日に自動的に納税が行われます。
ただし、もし残高不足等で口座振替不能になると、本来の納期限(H30.4/2)からカウントされて延滞税がかかりますので、注意しましょう。