税理士に依頼するメリット
会社を経営していて、税理士に依頼していない経営者がいらっしゃいます。
このような状況は、例えるなら「命綱をつけないで危ない橋を渡る」ようなものです。
会社を経営していく上で、実に多くの問題に直面していきます。
売上のこと、資金繰りのこと、税金のこと、そして従業員のことなどなど。
そんな状況を乗り切るには、やはり外部の専門家を上手に活用しなくてはなりません。
経営者に一番身近に存在する専門家が税理士です。
会社経営のパートナーとして、サポートしてくれる税理士へ依頼するメリットをご紹介します。
目次
税理士の独占業務
税理士にしかできない業務、いわゆる独占業務というものがあります。
全部で3つあります。
①税務代理
②税務書類の作成
③税務相談
上記の独占業務を税理士以外が行うと、たとえ報酬を受け取らなくても罰せられます。
税理士には非常に重たい責任があるのです。
そんな税理士だからこそ、経営者は自社の経営について安心して税理士に相談することができます。
一番身近な相談相手
始めにも書きましたように、会社を経営していく上で、経営者は実にさまざまな問題にぶち当たります。
人間だれしも悩みがない人はいませんよね。
会社でも同じことが言えます。
お金を借りたい、人を採用してもすぐに辞めていく、今期の税金がいくらくらいになるのか分からない…
「十人十色」という言葉があるように、会社が10社あれば、10種類の悩みが、100社あれば、100種類の悩みがあります。
ワンパターンの問題であれば、本やインターネットで調べれば解決できるかもしれません。
今やある程度のワードで検索すれば、簡単に記事として読めます。
しかし、本当に知りたいことはそんな単純なことではありません。
要するに、自社に即した回答やアドバイスではないでしょうか。
その回答を得るために、自社の状況をいろいろな角度から見て知ってもらう必要があります。
それができるのが税理士なのです。
税理士は、会社の数字を客観的に把握しているだけでなく、生の現場を見たり、そして経営者の話を聞いていて、会社の本来の状況を捉えることができます。
そんな一番身近で気軽に相談することができる税理士にぜひ依頼しましょう。
税理士がいない会社が陥ってしまう状況
個人で事業をされている方ならまだしも、会社を経営していて、税理士がいないのは何か理由があるはずです。
・そもそも税理士が必要かどうかが分からない。
・税理士に決算や申告を依頼すると費用がいくらかかるか不安だ。
・税理士に依頼するとお金がかかるので、支出を抑えたい。
と、そんなふうに思っている経営者も少なくないのではないでしょうか。
私も長年この仕事をしているので、税理士に依頼する費用がもったいない、とおっしゃる方と何人もお会いしました。
たしかに、できるだけ支出は抑えたいという気持ちは分かります。
しかし、そういった考えは会社経営を行う上ではとても危ないです。
税務署に申告だけ行うなら、申告ソフトに数字を入れれば、時間をかけて何とか完成する場合もあります。
(まあ申告ソフトも間違いがけっこうあるので、それでも正しいとは言えませんが…)
税理士に依頼する費用をケチってしまった挙句、次のような状況に陥ってしまう可能性があります。
・売上や経費の管理を丸1年間放置し、自社の数字が全然分からないまま決算を迎えてしまう状況
・儲かっているのかいないのか、いくら税金を納めればよいのか決算を終えるまで分からない状況
・自社の財政状態や経営成績が不明のため、今後の経営計画を立てられない状況
・いざ銀行にお金を借りようとしても、融資の知識に乏しいため希望金額まで借りれなくなる状況
資金繰りで行き詰まれば、黒字でも倒産する可能性がある
黒字倒産
そんな状況に陥ってしまえば、最悪の場合、資金繰りで行き詰まる可能性があります。
長く会社を経営していくためには、利益を出してお金を増やしていかなければなりません。
会社のお金がなくなれば、つまり会社の死(=倒産)を意味します。
「黒字倒産」という言葉があります。
これは、会社には利益が出ているのだけれども、会社からお金がなくなるため事業を続けられず倒産してしまう、ということを言います。
利益さえでていれば問題ない、ということでは決してありません。
売上代金を回収してはじめて会社にお金が入ります。
つまり、会社経営で資金繰りほど大事なものはありません。
資金繰りを考えないと、たちまち深刻な状況に陥ることが分かっていただけたかと思います。
お金の「入り」と「出」を両方把握する
税理士がいなくても資金繰りはすべて把握できているよ、という経営者はほとんどいないと思います。
お金の「入り」と「出」の両方を把握してはじめて、円滑に資金繰りを行えます。
「入り」は売上の金額がわかれば、およそつかめますが、「出」のほうはどうでしょうか。
仕入や経費の金額は分かっても、税額がいくらになるか簡単に把握できるでしょうか。
税金の仕組みを一から勉強しないとかなり厳しいでしょう。
しかし、営業をされている経営者がそんな勉強をする時間ってありませんよね。
知らない分野は専門家に任せてみませんか。
会社設立当初から税理士に依頼する
起業時こそ資金繰りの把握を
繰り返し申しますが、会社経営を行う上で、資金繰りほど大事なものはありません。
とりわけ会社を設立して安定するまでの数年間は、資金繰りが非常に重要です。
会社は年を追うごとに成長して、通常は売上がどんどん増加していきます。
そんな成長の早い会社ほど、資金(運転資金)が足りなくなる可能性があります。
かなり気を使わないと、すぐに資金がなくなってしまうでしょう。
また、設立してからすぐに売上がたつとも限りません。
家賃や給料のような固定費、設備投資が多くかかるのもこの時期です。
どうしても経費が先行してしまいがちです。
そのため、使う前に本当に必要なものなのかを一度考えてみることも大事です。
日本では、起業して5年以内に約8割の事業者が消えるというデータもあります。
まだ会社の基盤がしっかりできていない時こそ、資金繰りをきちんと把握しておかないといけません。
失敗しない税理士の選び方
会社設立から頼れる税理士を見つけて、二人三脚で会社の資金繰りや会計を適切な状態にしておくのが理想と言えます。
よい税理士ならどんな些細なことでも親身に相談に乗ってくれるはずです。
ご自身に合った税理士を見つけて、気軽に相談できるフットワークの軽い人を選びましょう。
しかし、実際はそんな税理士を探そうと思っても、すぐにはなかなか見つかりません。
税理士は全国に約7万人以上いますが、もちろん一人ひとり性格も年齢も得意分野も異なります。
さらに、税理士によって料金も違いますし、提供するサービス内容もさまざまです。
ちなみに、私がオススメする税理士の選び方を紹介します。
①性格が合うか(やはり人間同士なので)
②気軽に相談できるか(敷居が高いと感じさせる税理士だと難しいです)
③あまり忙しすぎないか(忙しかったら、落ち着いて相談できません)
④責任感があるか(ちゃんとダメなことはダメと言ってくれる)
⑤料金が予算の範囲内か(安すぎず、高すぎずです)
⑥サービス内容が明瞭か(メニュー表があるのがよいです)
⑦経営者や会社の味方になってくれるか(やはりお客様本位ですね)
⑧自社に合った有益な情報を提供してくれるか(税制改正があれば内容を教えてくれたり)
これで全てではありませんが、この中で特に大事なのは①性格が合うか、が重要なポイントと考えます。
一般的には、税理士との付き合いは長期にわたる場合がほとんどです。
数年から10年、長いと30年、40年というケースもあり得ます。
一度契約してしまえば、そうそう替えることはないのです。
そのため、やはり自分との相性が大事になります。
まずは、実際に会って話してみて、本当にご自身に合った人かどうかを見極めていただければと思います。
税理士に依頼するメリット
ここまで読んでいただいて、まだ税理士に依頼するか悩んでいる方のために、依頼するメリットをお伝えします。
きちんと納得していただいた上で、ご依頼していただきたいと思います。
金融機関からの信頼性が高まる
…申告書に税理士の署名捺印があるのとないのとでは金融機関に対する信頼性が違います。
特に、融資を受けようとする際は、税理士の署名があるとまず間違いなく金融機関からの信頼性が高まります。
税務調査への対応をしてもらえる
…事業をしていると必ずと言っていいほどあるのが、税務調査です。
中には税務調査を受けたことがない会社もありますが、そんなのは稀です。
多い会社だと、2~3年に一度くらいの割合できます。
しかし、いざ自分だけで税務調査を受けようとすれば、どう対応してよいか分かりません。
税理士のいない税務調査など、経営者にとって危険極まりないです。
やましいことは何もしていないのに、税務署の言いなりになって税金をたくさん取られてしまう可能性だってあります。
よい税理士は会社の味方になってくれます。
やはり税務調査には税理士が必要なのです。
適正な申告書を作成してもらえる
…現在の申告ソフトは、けっこう性能が良くなっているので、ご自身で勉強してソフトを使えば申告書を作れるかもしれません。
しかし、それが本当に正しいとは限らないのです。
以前の話ですが、過去ずっと自社で申告していて、はじめて税理士に依頼した会社の申告書を見たことがあるのですが、目も当てられない内容でした。
あるべき所に数字が入っていなかったり、まったく整合性が取れない内容の申告書だったのです。
まあ税務署も分かっているのだろうと思いますが、もし税務調査があれば、相当多くの誤りを指摘されるに違いないと思いました。
やはり専門家たる税理士に適正な申告書を作成してもらいましょう。
自社に合った節税対策等のアドバイスをしてもらえる
…今や、書店やインターネット等で調べれば、多くの節税対策が載っています。
どれも簡単にできそうに書かれていることが多いのですが、実際に自社で行えるかどうかは別問題です。
本に書かれていることをそのまま真似すると、会社経営に大きなやけどを負ってしまう可能性さえあります。
税理士に依頼して、自社に合った節税アドバイスを受けましょう。
第三者という外部の人間の目が入る
…経営者は孤独なので、大きな選択を迫られた際に、周囲に相談することなどほぼできません。
家族、ましてや従業員になんて難しいです。
しかし、会社経営は刻一刻と状況が変わります。
そんな時、間違った判断をしてしまうと会社は大変なことになってしまいます。
そこで、税理士という第三者の目で見てもらい、経営に必要な正しい判断の手助けをしてもらえます。
納税予測額や利益予測額を事前に把握できる
…通常、決算が終わって、2カ月以内に申告書を提出して税金を納める必要があります。
自分でやっていると、決算がすべて終わるまで納税額が分からないという不安がずっと付きまといます。
大変な思いをして決算を終えた結果、思ったより税金が高くなり、支払うべきお金がないということも出てくるでしょう。
よい税理士なら、決算の3ヶ月くらい前には利益予測や納税予測をシミュレーションしてくれます。
そのため、事前にいくらのお金を用意しておけばよいか把握できるので、資金繰りに困ることはなくなります。
まさに、税金ストレスから解放されます。