経理のIT化を目指す
目次
どんぶり勘定では本当に儲かっているかわからない
まず私の体験談を書きたいと思います。
守秘義務等があって、あまり詳しい内容は書けませんので、悪しからず。
私が会計事務所に勤務していた頃の話ですが、ある会社の税務担当を行いました。
その会社は関西にある不動産業を営む中小企業でした。
人員は社長とスタッフ2~3名の小さな会社です。
主な業務内容は、中古物件を安い金額で仕入れ、リフォーム等の内装工事をした上で高い金額で売却するというものでした。
業務としてはどこにでもあるものでしたが、問題は会社のお金管理がきわめて杜撰だったことです。
設立したばかりの会社だったので、経理担当者はいません。
社長がすべてのお金を管理していたのですが、当然現金出納帳もつけておらず、お金の出入りはまったくわからない状況でした。
しかも、会社のお金をプライベートで使っていたので、どんどん社長貸付金が増えていきました。
当然会社からお金は無くなっていきます。
なお、社長が会社からお金をもらう方法はざっくりいうと2種類です。
会社から役員報酬を支払ってもらうか、借りるかです。
また、逆もあります。
会社が社長からお金を借りるというものです。
中小企業でしたら、法人と個人でお金を融通しているところがほとんどではないでしょうか。
話を戻しますと、そんな杜撰な管理をしているので、そこの会社はいつもお金が足らない状況でした。
しかし、足らなくなると社長が会社の預金口座にお金を入れるのです。
どこからそのお金が来ているのか、最終的にはよくわかりませんでしたが…
ということですので、本当に会社に利益が出ているのか、損が出ているのか分かりません。
どんぶり勘定であればあるほど、無駄な支出は多くなります。
会社を経営するためには、会社に入ってくるお金を出ていくお金よりも多くするというのが必要です。
売上が右肩上がりに増えていっているのでしたら、出ていくお金を増やしてもさほど問題にはなりません。
しかし、そんな売上も少ない状況でしたら、絶対に支出を抑えないと会社は回らないことになります。
ましてや、プライベートの支出もしているということなら、経営が火の車になるのは明らかです。
ここまでのケースはなかなか無いかもしれませんが、現場を見ていた私には強烈な印象だったことを覚えています。
創業期の会社で売上が急増しているところも危ない
私の経験上、創業期の会社で売上が急増してるところもお金の管理が杜撰になりがちだと思います。
創業期だと社長も営業に回ったり、資金繰りに奔走されてしまって、経理のことはついつい後回しになりがちです。
しかも従業員にも余裕があるとも限りません。
配偶者が経理を手伝っている場合もあると思いますが、それでも経理のみに人を雇えるというのはなかなか厳しいでしょう。
そういうことで、お金の管理が甘くなっているという一面があります。
実際に、売上が急増していてお金の出入りがきちんとつかめていない、そのために慌てて金融機関に融資の相談をしたという会社を見たことがあります。
また、それだけ売上が増えるということなら、納税額もかなりの金額になることでしょう。
利益対策や納税対策をする上でも、税理士に現在の利益額をきちんと算出してもらうことが必要になるのではないでしょうか。
創業期の会社こそ、初めにお金の管理をきちんとルール化しておくことは先決だと思います。
どんぶり勘定から抜け出すには
2つのケースを紹介しましたが、ではどんぶり勘定から抜け出すためにはどうしたらいいでしょうか。
問題は、会社でお金の管理がきちんと出来ていないことにあります。
健全な会社運営のためには、どんぶり勘定をやめないといけません。
そのためには、会社自身で自計化することだ、と私は考えています。
自計化とは会社で経理を行うことをいいます。
しかし、こう言うと社長から反対の声が上がるかもしれません。
経理や会計入力等をすべて税理士に任している社長なら反対する可能性はあります。
税理士に依頼する理由が、経理や会計入力をやってもらうためだからでしょう。
面倒な経理業務は税理士に任せていて、自分は営業等の本業に打ち込みたいと考える気持ちは分かります。
毎月支払っている顧問料もそのための手間代と考えている社長は多いと思います。
過去にダイレクトに社長からこう言われたことはありました。
しかし、現在の会計システムはかなり進歩しています。
社長が思っているよりも、ずっと楽にできるようになっています。
弊所で推進しているクラウド会計システムを使えば、通帳データの自動取込機能や領収証等のスキャン機能を駆使することで、大幅に経理業務を軽減することが可能です。
さらに、毎月の請求書等の発行も簡単にクラウド会計システムでできるようになっています。
まさにクラウド会計が経理を変える、という局面にいるのです。
税理士事務所も今までの入力代行業務のみをやっていては、将来的にはすべて機械に取って代わられる可能性があります。
今すぐにという流れではありませんが、今後ますますIT化が推進されていくことは明らかです。
経理のIT化を目指す
繰り返しになりますが、どんぶり勘定から抜け出すには、お金の入出金管理をきちんと行うことが重要です。
そのためには経理を自社で行うことが必要となります。
それを行っていくためのツールとして、クラウド会計システムを導入するのがやはり良いと思います。
自社で自計化するための環境はすでに整備されているので、昔のように面倒な業務は無くなっていっております。
経理の業務を効率化するためにIT化を進めていく。
理想としては、日々の帳簿作成を自動化し、いつでもリアルタイムに会社の数字が出来上がっている状態が望ましいでしょう。
そして、出来上がった資料をもとに税理士にいろんな経営相談を行っていただく。
良い状態の時も、悪い状態の時もです。
社長自身が会社の数字をきちんと把握できておれば、いわば会社の健康管理ができますので、未然に多くの経営リスクは防げるでしょう。
クラウド会計は今後導入する事業所は増えていくと思われます。
活用していきたいものです。
弊所もクラウド会計導入からのお手伝いを実施していますので、ぜひお気軽にご相談ください。